鮮やかに突き抜けV
昨年は優勝が一度もないなかで、獲得賞金を積み重ねて3年連続でグランプリ出場を果たした。機動タイプ全盛の現在の競輪スタイルで、追い込み選手の優勝のハードルは高い。その流れを打ち破るべく、佐藤慎太郎がおよそ1年3カ月ぶりのVをつかんだ。
「久しぶりでうれしいです。連戦ではあったけど、ずっと積み上げてきた貯金があったんで勝てたんだと思います」
昨年末の静岡グランプリから休むことなく戦い続けて、和歌山記念、豊橋記念、高松記念に次いで、今シリーズはすでに4場所目。中2日のローテーションを2場所続けても、45歳の年齢を感じさせないエネルギッシュなオーラを放っている。「レースより日ごろの練習の方が、数倍苦しいですから。自分が耐えられるうちは、やっていかないと」と、過密日程もなんのその。オール3着での勝ち上がりながらも、連日の立ち回りは目を見張るものがあった。
初日特選、準決と浅井康太とタッグを組んだが、迎えた決勝は郡司浩平の番手をチョイスした。
「(決勝は)細切れですし、郡司のセンスに任せていた。(郡司を)信頼して、(最終)4コーナーまで付いていくことに集中していた。それで最後に自分の脚を全部出せたんだと思います」
レースは、打鐘で先頭に立った小川真太郎がペースを握り、郡司は5番手を確保。記念の決勝にしては、それほど早くない流れに郡司が一度はタイミングを逸してなかなか動けない。3番手の吉澤純平が先まくりを打ち、郡司は最終3コーナー過ぎから外を踏む。佐藤は、ここしかないというコース取りで、諸橋愛と郡司の間を突き抜けた。
「(今回の優勝で)あらためて先を見てトレーニングしていかないとっていうのを感じました。これからもずっと上位で年末までいけるように頑張っていきたい。グランプリに出たいって思っているだけでは、グランプリに勝てない。グランプリに勝ちたいっていう思いで、日々積み重ねていきたい。(次回の全日本選抜に向けて)もう明日から普通に始まります。しっかりと仕上がったって言えるようにやっていきたい」
“ツー・タイムズ・チャンピオン”。03年の全日本選抜以来2度目のG1制覇と2度目のグランプリ制覇へ。佐藤がゆるめることはない。
3番手からまくった吉澤を小倉竜二がブロック。冷静に間合いを取っていた諸橋愛は、吉澤マークから追い込むも佐藤との伸び比べで2着。
「勝ったと思ったけど、残念…。(最終)3コーナー、2センターまでは想定内だった。(吉澤)純平がある程度、踏んでいれば、次に来るのは小川だろうし。あとは(吉澤のまくりが)飛んだら内だし、そこはピッタリ付けると苦しくなるんでエアポケットに入りながらだった。(佐藤)慎太郎さんが来たのがわからなかった」
「あそこは(仕掛けて)行きたかった。緩んだんで変に外しちゃうと後ろにしゃくられちゃうかなっていうのもあった」と、郡司浩平が打鐘をポイントにあげる。結果的には5番手からのまくり追い込みになった。
「(5番手は)最低限の位置でした。あの位置を取り切るのでジャンのところでバックを踏んじゃった。(小川が)掛かってたし、(最終)2コーナーで行きたかったけど、行けるスピードじゃなかった。自分がイメージしたような脚のたまり方じゃなかった」