4度目のビッグ制覇でウィナーズカップ連覇
「まさか優勝できるとは、思っていませんでした」
4年連続グランプリで年末を終えた清水裕友は、22年の始動となった立川記念、続く豊橋記念と決勝にコマを進めていた。が、その後は3場所続けて優出を逃し、前々回の全日本選抜では二次予選で敗退していた。それだけにウィナーズカップ連覇にも、こう胸の内を吐露した。
脇本雄太率いる中近勢に深谷知広。強力な別線を相手に中四国勢は、ラインの力で対抗。太田竜馬が脇本を後方に置いて、迷いなく打鐘の3コーナーからハイペースで風を切った。
「太田君が気風良く行ってくれた。2日目に(町田太我、松浦悠士の)3番手で連結を外してしまった分もあるんで、そこだけはしっかり付いていってと思ってました。本当に前の2人の強さに尽きます」
5番手の深谷、7番手の脇本はまだ動けない。それでも太田の思いをくんで、松浦が最終バック手前から番手発進。舞台は500バンクだけに、清水にとっては願ってもない展開だった。
「ああいう態勢になったんですけど、連日、脇本さんのスピードとかもすごかった。まあ、飛んでくるんじゃないかなと。ゴール線で(自分が)1着ってわかったんですけど、本当にまさかですね」
巡ってきたチャンスは逃さない。ゴール前で抜け出した清水が、右の拳を力強く握りしめた。
連覇のウィナーズカップ。清水にとっては、昨年と同じくエンジンを点火するトリガーとなるシリーズだった。「正直、このままズルズル終わってしまうのかっていう思いもありました」の昨年は、この優勝で賞金を加算して獲得賞金での4度目のグランプリ出場。だが、その年末のグランプリのあとは、持ち前の闘争心がなかなかわきあがってこなかった。
「正直、去年のグランプリを走り終わって、ちょっと気持ちが切れたところがあった。ズルズルいってたんですけど、前回の名古屋でこれじゃマズいなっていう危機感みたいなものも出た。まさかこんなに早く立て直して、優勝できるとは思ってなかった。またここから一生懸命できそうですね。本当にビックリしてますね」
ラインの力でキッカケをつかんだ清水が前を見る。
「いろいろかみ合えば、こうやって優勝できるっていうのもわかった。あんまり大きいことはいえないんですけどね。今回の優勝でまた気持ちを切り替えて、頑張りたいかなと思います。そう思えたんで良かったですね。まだまだ今年長いんで。ちょっと気持ちが切れやすいタイプなんですけど、1年間しっかり戦っていきたい」
番手、3番手がともに2回ずつと異例のシリーズでもあった。取鳥雄吾、町田太我、太田…。松浦はもちろんのこと、仲間たちが清水のモチベーションにつながっている。
松浦悠士は、太田の番手から最終バック手前で前に踏み込む。松浦の判断がラインでのワンツーを結実させた。
「僕もキツかったですけど、あそこで出ないと(脇本に)いかれてしまうと思った。昨日のデキなら抜かれないかと思ったんですけどね。僕自身、仕上がっていました。やっぱり(清水)裕友が元気ないとさびしいですからね。全日本選抜も名古屋記念も一緒に決勝を走れなかった。昨日の感じだったら押し切れると思ったんですけど、裕友もしっかり調整してきましたね。でも、この優勝がキッカケになれば。(今シリーズは)僕自身、本当にラインの力が大きかったなって思いましたし、裕友も同じ思いだと思う。これからもみんなで頑張っていきたいですね」
単騎の神山拓弥が中四国勢を追いかけて、深谷知広は車間が空いた5番手。直線で中国勢に詰め寄るも3着まで。
「(最終)ホームで想定外の車間が空いてしまった。そこで脚を使ってしまった。もっと楽に回れていれば。成田(和也)さんが自分(深谷)が獲れるようにって言ってくれたのに、獲れなかったんで申し訳なかった。今回(4日間)は内容が伴ってなくて、最低限ですかね」