• 武雄競輪場開設72周年記念大楠賞争奪戦4/23〜4/26

後記 GⅢ 武雄 04/23

30回目のG3制覇でダービーに弾み

平原康多

平原康多

決勝優勝写真
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 「全部任せてました。(吉田)拓矢の行けるタイミングで行ってもらえれば」
 4車のロングラインができあがった関東勢。番手の平原康多は、同じS級S班の吉田に注文をつけることなく全権を委ねた。ただ、平原にとっては、吉田の不発だけが誤算だった。
 「連日の拓矢の強さを見てたんで、行き切れないことは想定してなかった」
 3番手から叩きに出た櫻井正孝を突っ張り、稲川翔が腹を固めて逃げる。前団の隊列が短くなったところを吉田が、最終ホーム目がけて踏み込む。が、準決のようなスピードがない。バックを通過して、平原はギリギリの判断を迫られた。
 「自分の横に(佐藤)慎太郎さんがいたんで、隙を見せられなかった。すごい動きだった。正直、届くか届かないか半信半疑だった。僕も後ろに2人(諸橋愛、木暮安由)を背負ってたんで、どこかで踏まないと。拓矢がタレてきてから踏み上げた。落車がなかったら、間に合わなかったんじゃないかと」
 吉田が失速すると、平原は3コーナー過ぎから外を踏み上げる。直線では近畿勢の中を割る佐藤と村上義弘が接触して、両者が落車。諸橋、大坪功一が巻き込まれる大量落車が起きた。結果的には楽に抜け出した平原だが、アクシデントもあり手放しでは喜べない。
 「(落車があったんで)ちょっと複雑な気持ちですね。自分のなかでは(踏むのが)遅かった。ああいう判断をしっかりとしないと、うまくいくことばかりじゃない」
 まさに“勝って兜の緒を締める”。06年11月の別府で初のG3制覇から数えること30回目の優勝にも、平原は慢心することがない。
 「4日間厳しい戦いだったけど、実戦でしか得られない経験ができた。(30回目のG3優勝だけど)あんまり過去を振り返らないんで。ここで終わりじゃないし、日本選手権に向けて気持ちを上げられれば。優勝したことで気持ちを切らさないようにしたい」
 通算8度のG1制覇を誇る平原だが、まだ日本選手権(ダービー)のタイトルは手にしてない。5月3日から平で始まる輪界の頂上決戦、ダービーに平原の気持ちはすでにスイッチしている。

 平原が外を踏み込むと、諸橋は最終4コーナーから内に進路を取る。関東ラインのシンガリを務めた木暮安由は、外を踏んで2着に届いた。
 「(内は)渋滞していたし、危ないにおいもした。諸橋さんがどっちに行くかを見て、あそこに行きました。3日目からギアを(前が)51枚にしたのが正解。そこから反応が悪くなかったし、全然違った」

 キーマンの1人でもあった稲川翔は、村上義弘を連れて先行策。櫻井、吉田ともに不発に追いやったスピード感は、復調を感じさせるものだった。
 「スタートが出遅れたけど、前が取れた。前なら全部のことができるし、運びやすくなる。腹もくくれた。村上さんが前に踏んだら(優勝に)いけたかなと。僕のことをかばってくれて、そこら辺は紙一重ですね。それで村上さんが落車してしまった。自分はどんなピッチで駆けているのかわからなかったけど、絶対に4コーナーまではやめたらいけないとガムシャラだった。自分の状態とかはわからないけど、レースのなかでは思い切りが出ているのかなと」

 打鐘の4コーナーから踏み込んだ吉田拓矢は、切り替えた佐藤のけん制もあって前団をつかまえ切れなかった。
 「昨日(準決)とかに比べると重かった。力みがあったのかなと。後ろに迷惑を掛けてしまいました」

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