• 青森競輪場開設72周年記念みちのく記念競輪9/8〜9/11

後記 GⅢ 青森 09/08

S班のプライド、吉田拓矢がV

吉田拓矢

吉田拓矢

決勝優勝写真
決勝優勝写真

 連日、前受けを選択した30連勝中の中野慎詞がスタートを出渋り、ややけん制気味の中で清水裕友が誘導員を追い掛けて正攻法に構える。郡司浩平-和田真久留がその後ろに構え、中野-新山響平-内藤宣彦の北日本勢がその後ろに陣を取る。吉田拓矢-椎木尾拓哉の即席ラインが後ろ攻めとなって周回を重ねる。
 吉田が青板周回バック付近から上昇して中団の外で止まってプレッシャーをかける。併走を嫌って7番手まで下げた中野が2コーナーから巻き返しを狙ったが、正攻法に構えていた清水が力いっぱい踏み込み、そのまま主導権取り。3番手で車間を空けていた郡司が外を張りながら中野をけん制。執ように外を警戒しながら最終3コーナーでまくり出たが、清水の番手を回っていた三谷将太が懸命にブロック。スルスルッと内へと潜り込んでいた吉田が清水と三谷の間をすり抜けて直線で突き抜けた。
 「ちょっと初手から予想と違った。(外枠の自分が)後ろなのは変わらないんですけど、どうしようかなっていう感じでした」と準決で一度は対戦しているとはいえ、データの少ない中野が相手で手探り状態でレースを進め、結果的に優勝できたものの、自らの走りには満足していない。
 「レースとしては良くないレースでした。中野君がスタートを取らず、けん制で読めないレースになった。勢いある新人をみんな警戒していた。納得のいく勝ち方ができれば良かったんですけど」
 気持ち良く外を踏み切れなかった吉田は、歯切れの悪いコメントを並べた。しかしながら、勝負どころを逃さずに判断良くVコースを踏み込み宇都宮記念以来で今年3度目、通算5度目のG3制覇を達成した。
 「郡司さんの動きを見ていたら詰まってしまった。内に吸い込まれて入った感じですけど、そこで勝負するしかないと思った。最後は空いてくれと思ったら空いた。反応もすぐにできました。力勝負ができたら良かったんですけど、自分が未熟でした」
 今シリーズから新車を投入していた吉田。1走ごとにセッティングの微調整を繰り返しながら、なんとか決勝戦に間に合わせた。
 「自分としては連日、感触が良くなくて何とか決勝に乗れた。セッティングを煮詰めてチェーンの長さを変えたりした。今日(最終日)の朝には良い状態で優勝狙えるぐらいなのかなって気負わずに走れました」
 次回は16日から名古屋で行われる共同通信社杯。ようやく体にマッチした自転車でS級S班として、スケールの大きい走りで結果を求める。
 「共同通信社杯はS級S班らしいレースをしていきたい。今回は最後に美味しいところだけ持っていっただけなので、慢心せずに共同通信社杯は関東を引っ張っていけるように」

 和田真久留は、今シリーズ2回とも好連係を決めている郡司と挑んだ決勝。三度でワンツーとはいかず、番手回りとしての課題も見えた。
 「結果的にいい位置は取れましたけど、(郡司)浩平も難しかったと思いますよ。中野君を警戒してかなり車間も空けてましたし、(最終2コーナーで)脚はたまっていなかったと思う。自分が前でも行けなかったと思います。最後はちょっとやられました。ヨシタク(吉田)そうくるかって。外を来るかと思ったら内だったんで。自分も上がって内を空けてしまった。すぐに締めたつもりなんですけど。そういうところですね」

 郡司浩平は中野と今回が初対戦。勢いのある若手を警戒するあまり仕掛け損じてしまい3着。初日から3日目までは判断良く動けていたが、大事な決勝で硬さが見られた。
 「中野君がどこからいくのか読めなかった。(中野は)中団からでもアクションを起こすか、吉田君がフタをすれば引くだろうと。中野君が来る前ぐらいのところで清水君が踏み込んだ。突っ張るぐらいで残る先行の踏み方だった。ピッタリ付けず、(車間を)空けてかぶらないように。でも(最終2コーナーで)詰まっちゃって仕掛ければ良かったんですけど、(中野を)警戒するあまり脚を削られていましたね。こういう決勝だったりレベルが高くなるほど、厳しさを感じる」

Race Playback

レース展開3
 追い上げて3番手の内で脚をためた吉田拓矢選手が、直線で抜け出して優勝。和田真久留選手が追い込んで2着。外をまくり追い込んだ郡司浩平選手が3着。

レース経過

誘導員 : 佐藤友和

 清水裕友-三谷将太が前団に構える。郡司浩平-和田真久留、中野慎詞-新山響平-内藤宣彦、吉田拓矢-椎木尾拓哉の隊列で周回を重ねる。 青板バック手前から後方の吉田が上昇を初めて、5番手の中野に併せ込む。併走のまま赤板を迎えるが、中野は1センターで下げて吉田が5番手に入る。2コーナーから中野がすかさず仕掛けるが、清水も誘導を交わしてペースを上げて駆ける。清水の先行で打鐘。新山は、中野を追わず後方で待機。 最終ホームを通過して、浮いた中野は出切れず中団まで。3番手の郡司が中野をけん制しながらタイミングを取っていると、吉田は2コーナー手前からインを進出する。吉田は3番手の郡司の内まで押し上げるが、椎木尾は付け切れない。後方の新山は、自力に転じてバック手前からまくり上げる。合わせるように郡司が3コーナーで踏み上げて、逃げる清水の番手の三谷がブロック。空いた三谷の内を踏み込んだ吉田が、直線の入口で先頭に立つ。吉田のコースを追い込んだ和田は三谷とからんで、楽に振り切った吉田が優勝。和田が2着で、まくり追い込んだ郡司が3着。

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