• 向日町競輪場開設72周年記念平安賞9/24〜9/27

後記 GⅢ 向日町 09/24

逃げても強かった脇本雄が完全V

脇本雄太

脇本雄太

決勝優勝写真
決勝優勝写真
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 初日特選から無傷の3連勝は、すべて前受けから後方に下げて異次元のまくりだった。迎えた決勝は、4車で結束した中四国勢が、前団に構える変化球で“脇本崩し”にかかった。脇本雄太は、それまでの3日間とは違う8番手のポジションで周回を重ねた。
 「あんまり予想をしてない展開だった。清水(裕友)君の前受けの展開は考えてなかった。(あの並びで)僕がちゅうちょして、坂井(洋)君が行ってくれればまくりかなと。坂井君がちゅうちょするようなら、(自分が仕掛けて)行くしかない」
 5番手で車間を空けた坂井は、まだ動かない。赤板2コーナーで脇本は腹を固めて大外を踏み込んだ。清水もペースを上げるが、脇本の加速はケタ違い。稲川翔とともに出切って、最終ホームを迎えた。
 「僕のなかで稲川さんとの信頼関係。稲川さんならなんとかしてくれるし、ワンツーを決めたいっていう思いでした」
 後方に置かれた東日本勢には出番がない。3番手に飛び付いた清水も前との車間はなかなか詰まらず、優勝は近畿の2人、脇本と稲川に絞られた。
 「1着を期待する声援が多くて、なんとかそれに応えなきゃって思いでした」
 直線で外に持ち出した稲川だが、わずかに詰め寄っただけで、脇本を脅かすまでには至らなかった。脇本が4連勝で先頭のゴールを駆け抜けた。
 「脚の感触はともかく気持ちは、いい方向につながったのかなと。ようやく近畿でのラインでワンツーをすることができて、収穫を得たのかなと思います」
 近畿1人の初日特選は、ラインを組んだ成田和也、鈴木裕との上位独占。しかしながら、二次予選での稲垣裕之、準決の高久保雄介の地元勢との勝ち上がりはかなわなかった。それだけに稲川とのワンツーは、脇本にとって大きなプラス要素だろう。
 「僕のなかでは次のG1、競輪祭で優勝できるように脚を仕上げていきたい。共同通信社杯から連続での疲れもあるんで、1回休養を入れてから、またしっかりと仕上げていきたい」
 地元の村上兄弟が不在のシリーズ。近畿の柱として計り知れない重圧のなかで、昨年に続く完全Vで向日町記念を連覇した。今年はダービー、オールスターと2度のG1出場でともに優勝。10月の寬仁親王牌への出場権のない脇本は、3冠目となる11月の競輪祭に照準を合わせる。

 連日、番手の選手が脇本の加速に置いていかれるシーンが目に焼きついていただろう稲川翔だったが、危なげない追走。直線勝負に持ち込んだ。
 「(中四国の前受けは)相手も一流なんで、同じ負け方はしないだろうと。(脇本の先行で)ああなった以上、僕の責任が強くなった。いつも通り番手としての役割を果たしてと。最後に抜くだけに徹すれば、いろいろ考えることも少なくなるけど。ワッキー(脇本)があんだけ長いこと踏んでいるので、自分もそういうわけにはいかない。最後は思い切り抜きにいったけど、抜けなかった。あらためて強かった。ワッキーを抜くことをずっと目標にやっているけど、まだそこにはいけてない」

 3番手の清水は、近畿勢との車間を詰め切れず最終4コーナーでいっぱい。清水マークの桑原大志が、追い込んで3着に入った。
 「どうやったら(脇本を)倒せるか、みんな考えてた。でも、タイムが違いましたね。小倉(竜二)君まで(ラインを)固めてくれて、ありがたかった。(清水が)もう1回追いつければと思ったけど、(脇本が)すごかった。ただ、清水君と連係できたのはうれしかった」

Race Playback

レース展開4
 先行策の脇本雄太選手が押し切り完全V。稲川翔選手が流れ込んで、近畿ラインでのワンツー。離れた3着に桑原大志選手。

レース経過

誘導員 : 川村晃司

 ゆったりとしたスタートから清水裕友、筒井敦史、桑原大志が前に出て、清水が誘導員の後ろを占めた。清水-桑原-筒井-小倉竜二の中四国勢が前団。坂井洋-成田和也-小原太樹の東勢が中団で、脇本雄太-稲川翔の近畿勢が後ろ攻め。初周で早くも態勢が整い、しばらく静かな周回を重ねる。 赤板前の2センターから坂井が前と車間を空け、イエローラインあたりまで上がって脇本の動きをけん制。赤板過ぎの1コーナーで清水が誘導員を交わして前に出るもペースは上がらない。坂井は中バンクに上がってしきりに脇本の仕掛けをけん制していたが、脇本は2コーナーの山を利用して一気にスパート。気付いた清水も懸命に踏み込むが、脇本のスピードが優っていて最終ホーム手前の4コーナーで先頭に躍り出た。最終ホームは脇本-稲川、清水-桑原-筒井-小倉、坂井-成田-小原の一本棒で通過。3番手に収まった清水だが、脇本のかかりは素晴らしく、稲川とは3車身ほど車間が空いたままでなかなか差が詰まらない。最終バックで7番手の坂井がスパートするが小倉のアウトまでが精いっぱい。圧巻のスピードで逃げた脇本は稲川を悠々と振り切り、昨年と同様に4連勝で連覇を達成した。稲川が食い下がり近畿ワンツー。3着は直線半ばで失速した清水を交わした桑原が入った。

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