連勝街道を驀進中の脇本雄
世界選手権(20年・ドイツ)のケイリンで、銀メダルを獲得した実績がある脇本雄太。世界の舞台で大活躍したスピードはさすがに違う。今年はダービー、オールスターを含み9Vを達成していて、勝率は驚異の84・7%を誇っている。しかも5月福井の準決から負け知らずで、8月立川の決勝で連勝記録を20まで伸ばした。トップスピード、ダッシュ力、航続距離と3拍子そろっているので、先行してもまくりに構えても別線を沈黙させている。共同通信社杯で完全Vを達成なら、今シリーズは24連勝での登場となる。昨年に続きこの大会連覇を達成する公算が大きい。古性優作も今年は素晴らしい充実ぶりだ。特にビッグレースでは圧倒的な存在感を示していて、全日本選抜と高松宮記念杯でVをゲット。G1の4大会の準決はオール1着を取っている。ダービーの準決では脇本雄の逃げを差した実績もあるので、展開次第では逆転もあるか。レース巧者の稲川翔、地元の意地を見せたい稲垣裕之、高久保雄介は近畿連係から上位進出を目指す。
今年はウィナーズカップで昨年に続き連覇を飾った清水裕友ながら、その後は成績に波があり、大きな数字も目に付く。随所でらしさを披露しているものの、コンスタントに力を発揮できていない印象だ。脇本と個の力では分の悪さは否定できないので、中四国スジの石原颯との連係を叶えたいところ。石原は相変わらず積極的で、直近4カ月の連がらみはすべて先行してのもの。オールスターの一次予選2は松浦悠に差されたものの2着に粘っていて、主導権を握ると強じんな粘りを発揮する。脇本をどこまで苦しめるか注目される。
もう一人のSS班である宿口陽一も今年はなかなか波に乗り切れていない感がある。それでもサマーナイトの予選は眞杉匠のまくりを差して1着、オールスターの最終日特別優秀では、菊池岳の逃げに乗り深谷知、清水裕らに勝っていて、好展開が巡ってきた時はチャンスをものにしている。関東ラインをけん引するのは吉田有希だ。オールスター着では二次予選で上位進出の権利を逸したものの、連日積極的に駆けて先行力を猛アピールしている。ここは脇本が相手だけに、多少早めからでも主導権奪取に全力投球の構えだろう。坂井洋も強力な自力型。早い仕掛けは少ないものの、スピードは一級品で、サマーナイトでは着と2連対を果たしている。吉田の動きに乗れるようだとチャンスもあるか。
今年は年頭から素晴らしい伸びを披露している成田和也。全日本選抜、ウィナーズカップ、高松宮記念杯、オールスターで決勝に乗っていて、ビッグレースで大活躍。直近4カ月の3連対率は8割を上回っている。ここは北日本勢の自力型が手薄なので、動向には注目しておきたい。
鈴木裕、小原太樹ら南関勢は厳しい戦いを強いられそう。