山田庸平23年ラストの記念覇者に
寒波に襲われた重バンクを攻略して、山田庸平が今年3月の松山以来通算3度目のG3制覇を、4連勝の完全Vで達成した。
地元の町田太我が、打鍾前に3番手から意表を突いて野口裕史を叩く。が、今節のデキが光った皿屋豊も、打鐘過ぎ2センターから襲い掛かる。皿屋が町田をねじ伏せて最終主導権を握るが、山田は遅れ気味の山内卓也をさばいて浅井康太にスイッチ。結果的にこの瞬時の判断が、勝負の明暗を分けた。
「スタートは中団が欲しかったんですけど、前受けになった。(赤板で)踏み出して中団を取って、そこから仕掛けるのは想定通りでした。(町田が仕掛けた所は)ちょうど(コーナーを)登ったところだったし、ものすごいきつかった。なんとか付いて行ったけど、皿屋さんが来た所で仕事をして(町田を)迎え入れたかった。でも、そこでは脚力が残ってなくて切り替えさせてもらいました」
外を回した稲川翔を、浅井が小さな動きでブロック。山田はその一瞬の隙を逃さない。わずかに空いた浅井と皿屋の間を、鋭く割って突き抜けた。
「稲川さんが来ていたし、外も、内も、浅井さんの踏み込みも気にしていて余裕はなかった。きつかったんで、届く確信はなかったです」
今年は高松宮記念杯、オールスターでG1決勝に進出。昨年と同じく、今年も賞金ランキングでグランプリを狙える位置につけて競輪祭に出場した。「今年は結果だけならものすごく良い一年だった」と言うように、充実した一年を過ごしたことは間違いない。だが「その分まだまだミスも多かった」と納得はしていない。タイトルまで、あと少し。その少しの差を埋める厳しい道のりを、来年も歩んでいく。
「(グランプリは)今年はそこまで意識してなくて、去年と同じくらいのところをキープすること、安定することが一番だと思っていた。それをちょっとずつ積み上げて、狙っていきたい。今節は動きが良かったと思うし、こういうレースをやっていきたい。自分のレースを作って、磨き上げていきたい。競輪祭が終わってから、そういう風に思い始めた。元々力がなくて弱かったから、今の位置にいるのが不思議な感覚もあるんですよね。ちょっとだけ満足している気持ちもあるけど、(タイトルを)狙っていきたい気持ちがあります」
来年は、もっとどん欲に。19年高松宮記念杯での中川誠一郎以来のタイトルを、来年こそは九州にもたらそう。
浅井康太は、稲川を一瞬振った内を突かれて万事休す。なんとか持ち直して2着には入った。
「稲川君が気になりすぎて、内をおろそかにしてしまった。(自転車を)振らないといけないって思って、(振ったら)山田君が来ていた。タテに踏みながらじゃないとダメでしたね。(今年は)記念は3本取れたし、決勝で犬伏(湧也)君や脇本(雄太)君と対戦して勝ち切れた。来年は40歳になる年なので、ここから落ちたと言われないように気持ちの面で負けずに、気持ちを入れて頑張りたい」
3着は単騎でまくり上げた*佐々木悠葵。
「(レースは)ああなるかなって思った通りでした。最終バックで山田さんをめがけていけばもっと面白かったと思う。追い上げみたいになってしまったし、一回バックを踏んだので。(今シリーズは)追加だったけど、最近の中では自転車の乗り方も良くなって兆しが見えてきたと思う」