• 西武園競輪場開設74周年記念ゴールド・ウイング賞4/20〜4/23

後記 GⅢ 西武園 04/20

初戴冠のバンクで4度目のG3制覇

眞杉匠

眞杉匠

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 思い出のバンクで復活の狼煙(のろし)。昨年8月に初めてG1を制した西武園にS級S班になって戻ってきた眞杉匠が、別線で戦った地元勢の夢をものみ込んだ。
 「(地元勢は前を取って)“全ツッパ”だと思いました。それだと自分は車番が悪いので、後ろから押さえにいって突っ張られるのかと…」
 5車の地元勢が前団に構えるかに思われたが、後方からの攻めを選択した。前受けは深谷知広。3番手で周回を重ねた眞杉は、あくまで冷静だった。
 「(あの並びになって、仕掛けた地元勢に)付いていったところで、6、7番手で併走してもしょうがない。(地元勢は)ドカンと行って、番手まくりだと。それで前を取ってしまうと、飛び付かないといけない」
 5番手から上昇した黒沢征治が赤板過ぎに飛び出して、そのまま緩めずに駆ける。中団取りには色気を見せず、眞杉は8番手で我慢。森田優弥の番手まくり、深谷の仕掛けを見極めて、ギリギリまで脚力を温存。その時を待った。
 「(6番手の)深谷さんよりも先に踏んじゃダメだなって。深谷さんが踏むまでワンテンポ、ズラして(仕掛けて)行った。ちょっと車間を空けながら、詰める勢いで行きました。(前団が)ゴチャついてたんでだいぶ遠回りになってしまった。けど、届いて良かったです」
 最終3コーナー過ぎからまくり追い込んだ眞杉が、まくり切った深谷をとらえたところがゴール。S級S班になって初めての優勝に自然と右手が上がった。今シリーズは関東勢が4人になった初日特選から地元勢とは別線だった。決勝でも、昨年のオールスター制覇の時に後ろを固めてくれた平原康多、武藤龍生は別線。その数的な不利を跳ねのけた。
 「前回(川崎記念)も準決で負けてしまって、(その前の)ウィナーズカップでは落車。流れが悪かったので、ここで流れが変わってくれれば」
 今年に入って1月に練習中の落車で大怪我を負って、S級S班としての始動が2月の全日本選抜と遅れた。さらには前々回のウィナーズカップでも落車に見舞われて、焦る気持ちもあったに違いない。しかしながら、今シリーズから投入した新車がマッチして、S級S班になって初めての優勝。昨年の競輪祭でも見せたクレバーで緻密な組み立てと、肝の据わった大胆さを持つ眞杉にようやく笑顔が戻ってきた。

 最終1コーナーで森田が番手から発進。地元勢に続いた深谷知広は、2コーナーから一気の仕掛け。武藤、平原に再三、けん制されながらもまくり切った。が、さらに外を眞杉にいかれた。
 「地元が(スタートを)出なかったのが意外でした。(分断策は)半々、ペースとその場の雰囲気。なるべく力勝負がしたかった。あとは眞杉がいつ来るかだったけど、なかなか来なかった。(まくりを打って、武藤と平原のブロックを)乗り越えて、また進む感じがあったのでイケるかなと思った。けど、眞杉が強かったです」

 思惑通りに運んだ地元勢ではあったが、誤算は深谷のパワー。ラインの結束力で止めにかかったが、その上をまくられた平原康多は悔しがることしきり。
 「(番手から出るタイミングとかは)森田がどう判断するかだった。あとは後ろの僕と(武藤)龍生で(別線を)ブロックと。想定したレースの1つだった。ただ、それ以上に深谷が。龍生も一発入れて、僕も2回いった。それでも止められなかった。(ラインの)みんなが悔しいし、自分たちの力不足です」

Race Playback

レース展開4
 眞杉匠選手が、まくりで外を突き抜けて優勝。先まくりの深谷知広選手が2着。地元勢は平原康多選手の3着が最高着順。

レース経過

誘導員 : 吉田裕全

 スタートでは深谷知広が誘導員を追う。周回中は、深谷-稲川翔、眞杉匠-坂井洋、黒沢征治-森田優弥-平原康多-武藤龍生-一戸康宏の並び。 赤板で黒沢が先頭に立つと一気にペースを上げる。深谷は車を下げて6番手、眞杉は前と少し車間が空いた8番手で赤板バックを通過。森田は後方を警戒しながら最終1コーナーで早々と番手まくりを敢行。中団の深谷も2コーナーからまくり上げるが、武藤、平原の厳しいけん制を受ける。前団のモツれを眞杉が大外から鋭く捕らえてV。けん制を受けながらも深谷は堪えて2着、森田の仕掛けに続いた平原が3着。

ページトップへ