今年3度目の記念制覇でASに弾み
4車の地元、南関勢VS中国トリオ。誘導が退避する青板バックから大方の予想通り、両ラインの攻防は激しさを増した。
「(取鳥)雄吾が全部、やってくれた。(南関勢に)普通に先行されて番手まくりをされたら、勝負権がない」
深谷知広が番手を回る強力な南関勢の布陣。中国勢は前団に構えた。新村穣が出て主導権を握ると、取鳥は番手に飛び付いて分断策。赤板では取鳥と深谷がものすごい勢いでぶつかり合うなかで、清水裕友はその後ろを確保していた。
「初手は前が良くて、そこを取れたのがすべてだと思います。(取鳥は)突っ張り切れなかったら勝負するしかないっていう感じだったので、理想の形にはなった。自分はあの位置を取り切れたんで、雄吾を迎え入れる準備をしていたけど、雄吾が戦っていたんで、それを見て判断しようと思っていました」
前団がもつれたと見るや、平原康多が仕掛けて打鐘2センターで主導権を奪う。競り負けた取鳥が後退して、清水は平原ラインを追いかけた深谷にスイッチした。
「自分は単独で回れていたんで、(岩本俊介が)横まできたら、なんとか対応をしようと思っていた。後ろには月森(亮輔)さんがいるんで、自分で仕掛けようって」
深谷が前の2人との車間を詰め切る前に、清水は最終2コーナー手前から外に持ち出して踏み上げる。暑さも相まっての究極の消耗戦に、まくりでカタをつけた。
「(まくりは)イケると思いましたけど、ハイピッチで自分も消耗していたんでキツかった」
ラインの月森亮輔を置き去りにして、直線ではセーフティーリード。終わってみれば3車身差の完勝だった。
「(暑さ対策は)アップからしっかりと考えて、いい方向にはいった。(この先の目標は)とにかくG1優勝がしたい。正直、昨日(3日目)のレースの組み立ても、G1だったら通用しない。そういう反省を生かしたい。今日はサマーナイトフェスティバルまで使っていたヤツ(フレーム)にしました。(次のオールスターでは、3日目まで使っていたフレームにするか)悩みどころですね。楽しみにしていてください(笑)」
2月の全日本選抜準Vに今年3度目の記念制覇で、獲得賞金ではすでに今年のグランプリも“当確ランプ”が点灯。それでもブレずにG1優勝を目標に掲げる清水は、暑さ対策にも成功して前回のサマーナイトフェスティバルから一変。これまでとは違う夏になりそうだ。
和田健太郎にからまれた月森亮輔だったが、最終ホームでは清水マークを外すことなく食らいつく。結果的には清水には3車身遅れたものの、2着に入りワンツー。自身にとっては初めてとなるG1、11月の競輪祭の出場権を手に入れた。
「(清水)裕友のことしか見てなかった。和田さんが横に並んだところだけは入れないように注意していた。付いている分には楽だったけど、踏んだりやめたりがあってだいぶ脚にきていた。でも、泥仕合は好きなんで。(2着で競輪祭の権利が取れて)めちゃくちゃデカい。初めてのG1なので、刺激になりますね」
4車の南関勢が分断されて、岩本は打鐘で後方から巻き返す。しかしながら、清水を乗り越えることはできず、月森の後ろに切り替えた和田健太郎が3着でラインのなかでは最先着。
「(スタートは)前が理想でしたけど、あくまで第1候補でほかの作戦も考えていた。取鳥と新村でやり合って、取鳥が引かなかったの誤算でした。自分は岩本の後輪しか見ていなくて、(前が)どういう状況かわかってなかった。そのあとは岩本の出だしとかがどれくらい行けるのなって感じでした。自分は月森の位置を取り切っていればとも思うけど、それでも清水は抜けなったですね」