久々のV奪取で王者の巻き返し
3月の玉野記念以来の優勝。玉野の直後にウィナーズカップで落車のアクシデント。8月のオールスターでも落車に見舞われていただけに、ホッと胸をなでおろすグランプリチャンプだが、レースをこう振り返った。
「(周回中)本当は3番手が良かったけど、笠松(信幸)さんにスタートで負けちゃった。青野(将大)君の誘導との空け方から、突っ張るだろうっていうのがあった。どうしようかと思ったけど、内がガラ空きだった。それで3番手を取ってになったけど、内容的にはダメだった。そこはもうしのごの言ってられなかった」
主導権を握った神奈川勢の後ろ、松浦悠士がインを進出して3番手を手に入れる。今度は5番手で立て直した村田祐樹が襲い掛かる。笠松信幸は村田に遅れて、最終ホーム過ぎに先頭に立った村田が一人で後続を離して風を切る。
「村田君にスイッチして追いかけるのが理想だったけど、そこは反応できなかった。村田君が強かった」
叩かれた青野は大きく車間が空いて、2コーナーの立ち上がりでは村田がセーフティーリードにも思えるような大きな差ができていた。松浦にとってはギリギリの判断で踏み出したが、前の村田は遠かった。
「(最終)バックで行かないと届かないなって。深谷さんもいたんで、最低限でした。3コーナー、2センターでは届かないかなっていうのもあった。けど、風も強かったし、(村田が)タレてくればっていう感じでした」
直線でさすがに村田もいっぱい。一気に差を縮めた松浦が、今度は強襲する深谷知広を半車身、退けてのゴール。一昨年に次いで岐阜記念を連覇した。
「結果が出てうれしい反面、自分の力的にもう少しほしいなっていうのがあります。まだまだっていう感じですけど、深谷さん相手に内容次第では勝てるなっていうのがわかった」
まだまだ完調にはほど遠いデキ。だからこそこれからの上積みにも期待が持てる。今シリーズも準決から変化を求めて兆しを感じ、そこを優勝に結実させた。
「宮越(孝治)さんに乗り方、セッティングを変えたって言われて、昔の感じを思い出してやってみたら、仕掛ける前の感じで脚がたまるようになってきた。今日(最終日)も走る前にいけそうな気がするっていうのは、(町田)太我にも言っていた。(G1を)獲りにいっても絶対に獲れるっていうわけではない。あとはやれることをしっかりとやって、それでダメならていうのはあります」
残されたG1はあと2つ。連覇がかかるグランプリ出場へは獲得賞金ランクで厳しい状況に変わりはないが、松浦に焦りはない。
深谷知広は、最終ホームで7番手。2コーナーからまくって出て、松浦を目標にグングンと差を詰めたが2着まで。
「自分で切りにいくのか中途半端になってしまった。(仕掛けが松浦と)ちょうど合ったので、付いて回していった。(村田は遠かったけど)まずは松浦をと。ただ、差が詰まらなかった。松浦も追いかけていたので抜けなかったですね」
記念初優出の村田祐樹は、高配当をメイクした準決同様にアッと驚く走りで見せ場をつくった。
「(周回中は)後ろからだと、前よりも厳しい展開になるかなと。取れた位置からだと思っていましたけど、笠松さんが(スタートを出て)取ってくれた。ジャン過ぎから踏み込んで、外のあおりもあってそこはキツかったですね。(最終)バックで真後ろの影だけがないのはわかったけど、確認する余裕はなかったです。3コーナーまでは夢をみました。けど、風もあって4コーナーでは脚がいっぱいでした」