ピックアップ GⅠ 前橋 10/11
降雪の影響で1日の中止順延があった14年の全日本選抜以来、5年半ぶりのタイトルも中止順延のシリーズだった村上博幸。フィジカル、メンタル面での調整力の賜物(たまもの)なのは間違いのないところだ。また、機動型が全盛の現在の輪界にあって、追い込みの村上がG1を制した意味は重い。ここ数年、誰よりもその“追い込みの壁”を痛感していただけに、チャレンジャー精神を掲げてのタイトル奪取を心からたたえたい。
寬仁親王牌で3年連続の失格を喫していた守澤太志は、着でシリーズの4日間を無事に走りぬいた。安全運行の裏には、戦い方の変化も影響しているのかもしれない。
「(弥彦から)前橋になって4年目で初めて完走できました。今はあんまりヨコをやっても…。やっていると置いていかれるだけだから。練習でもタテ脚を磨いて、セッティングもタテ脚重視にしています」
シリーズの後半で連勝の大槻寛徳は、ともに目標がいながら窮余の策でまくりを繰り出した。
「初日以外はすごく脚が軽かった。同じ練習しかしてないですけど、調子の波がすごくあるんですよね。本当に強い選手ならリカバリーができるんだと思います。でも、自分はそこまで調整する力がない。この調子で常にいければいいんですけど」
8月のオールスターを途中欠場、9月共同通信社杯で落車に見舞われた渡邉雄太は、復帰2場所目の今シリーズで2勝2着1回の3連対。
「(4日間)久しぶりにいい動きができた。二次予選でも動けたし、準決のも自信になった。次の福井(10月23日から)も、このままの調子でいければ」
決勝3着で賞金を上積みした清水裕友が獲得賞金でのグランプリ出場をほぼ確実なものにして、残されたグランプリの椅子はあと3つ。獲得賞金7位(10月16日現在)の郡司浩平が、シリーズを振り返り、メンタル面の重要性を強調する。
「(4日間の)トータルで守りに入ってた感じですね。余計なことを考えすぎた開催でした。体うんぬんじゃなくて、気持ちが大事になってくる。そっちのもっていき方ですね」
獲得賞金9位で初のグランプリ出場のボーダー上にいる松浦悠士は、最終日におよそ2周近くを駆けて逃げ切った。決勝進出を逃したものの、デキの良さは光っていた。
「自分のできることを最大限にやり続ける。しっかりと動いて自分のレースをして、それで自信につなげていく。最終日に先行もできたし自信はある」