ピックアップ GⅠ 和歌山 06/18
新型コロナウイルス感染症の影響で5月のダービーが開催中止に追い込まれ、2月の全日本選抜以来となったG1は、東京五輪が来年に延期になったことで出場機会が生まれた脇本雄太が4連勝の完全V。すでに自転車競技トラック種目の日本代表に内定している脇本は、「グランプリを先行で優勝したい」という強い思いのなかで、逃走劇を完結させた。輪界史上、ナンバーワンの先行選手という評価を得た脇本との久々の対戦に、他の選手も心の底から湧き上がってくるものがあったに違いない。
シリーズで3度脇本と顔を合わせた松浦悠士は、決勝で急きょ作戦変更のまくり勝負。脇本不在の輪界をともにリードしてきた清水裕友がファイナルには不在でも、見せ場をつくった。
「(決勝は)自分も飛び付く感じだった。でも、平原(康多)さんが分断すると思って自力に変えた。(まくりで)イケるかと…。脇本さんが余力を残してましたね。交わせれば良かったけど、(脇本が)強いのひと言。とりあえずは自分がやりたいことの1つができた。次はもう1つの秘策、戦えるカード(手札)をもっと増やしていきたい」
2月の全日本選抜を制してタイトルホルダーの仲間入りを果たした清水裕友は、4着で二次予選敗退。先行策に出てシンガリに敗れた初日特選を引きずった。
「初日にああいうレースをして流れを壊した。G1の成績がいい時は、初日からいいレースができている。よかれ悪しかれ、自分は初日が響いてくる。鍛え直してきます。こういう状況のなかで競輪ができるってことは、すごくありがたいんですけど、(次回の7月2日の小松島記念から始まる)7車立てはあんまり好きじゃない。やっぱり9車の競輪がいい」
初のビッグ出場となった3月のウィナーズカップでは、特選スタートも初日に落車の憂き目。今シリーズが初G1の森田優弥は、4日間を走り切り3日目にG1初勝利も挙げた。
「(G1)初勝利は素直にうれしいです。基本は先行だけど、上へ行けばいくほど臨機応変にやっていかないと勝てない。そういうことも意識的にやっている。輪界最高の自在性がある平原さんが(同県の先輩に)いるので、たまに一緒に練習をやらせていただくこともあるし、いいお手本になっています。初日は緊張したけど、2日目、3日目は大丈夫でした。G1の過ごし方とかが、次にもつながると思う」
高橋晋也も森田と同じく今シリーズが初G1。3月のウィナーズカップではビッグ初出場で優出して表彰台にまであがっている。それだけに2日目にG1初勝利を遂げても、高橋自身は納得のいく動きができたシリーズではなかった。
「4日間、ボロボロでした。いつもと感覚が違ってた。それで視野も狭くなって、冷静な判断もできなかった。いつもと違う踏み方になっていたのか、歯車が狂ってしまった。次までに修正しないと」
次回は7月10日からの地元、平のサマーナイトフェスティバル。ナショナルチームに所属している高橋も、脇本同様に大きな期待を背負っている。