SS班9名が勢ぞろい
東京オリンピックの日本代表に内定した脇本雄太は、2020UCIトラック世界選手権のケイリンで銀メダルを獲得したトップレーサー。本業の競輪でも圧倒的な存在感を示していて、ビッグレースで大活躍。一昨年はオールスター、寬仁親王牌の2冠に輝くと、昨年はウィナーズカップと日本選手権競輪で優勝、グランプリは準Vだった。競輪参戦は今年初となるが、レース間隔が空いても結果を出してきただけに、不安材料にはなるまい。高松宮記念杯はここまで5回決勝に乗っているが、準V2回とまだ優勝には手が届いていない。世界の舞台で並みいる強豪をねじ伏せてきたスピードにものを言わせて初優勝を達成する。
対峙するのは新田祐大だ。新田も東京オリンピックの日本代表に内定していて、2020UCIトラック世界選手権のスプリントで第5位、ワールドカップ第4戦、第5戦ではチームスプリントで連覇するなど、素晴らしい成績を修めている。やはり本業の競輪でも異次元のスピードで他を圧倒していて、一昨年は全日本選抜、昨年はオールスターで優勝をゲット。この大会は相性が良く、第67回、第68回を連覇した実績もある。好発進を決めれば単十分。
今年のビッグレースをリードしてきたのは松浦悠士、清水裕友の中国勢だ。全日本選抜で清水がタイトルホルダーの仲間入りを果たすと、松浦はウィナーズカップで初優勝を達成している。この両者の前後は流動的だが、とにかく信頼関係が厚い。前で戦ったほうがしっかり主導権を握ると、番手はきっちり勝機をものにしていて、全プロのスーパープロピストレーサー賞でも逃げた清水を松浦が差してV。スピードの絶対値では脇本、新田が優っているが、組み立てに隙を見せるようだと中国勢の台頭がある。
輪界を代表するオールラウンダーである浅井康太、平原康多も有力な優勝候補。今年はS班の座を明け渡した浅井ながら自慢のスピードの切れ味が甦り、2月静岡、4月高知、5月宇都宮と早くも記念3Vを達成している。一昨年の競輪祭以来のG1優勝を狙える状態だ。平原は5月宇都宮記念で落車したものの、全プロ着の動きは悪くなかった。体調に問題ないなら変幻自在な立ち回りから主役を演じても不思議ではない。
三谷竜生も忘れてはならない。一昨年の第69回大会を制していて、このときは逃げた脇本を差し切っている。ここも脇本との連係が叶うようならチャンスが巡ってくる可能性がある。
今年はまだVがない佐藤慎太郎だが、新田祐の動きに乗ってゴール前鋭く抜け出したグランプリ2019はまだ記憶に新しい。好位置キープなれば連に浮上してきそうだ。