ピックアップ GⅠ 小倉 11/18
例年通りシリーズ最後の決勝までもつれたグランプリの出場権争いは、10位の新田祐大が、5着で賞金を加算して8位に浮上。6年連続でグランプリのチケットを手に入れた。そして9番目に滑り込んだのは、グランプリ初出場の守澤太志。競輪祭直前の防府F1での完全Vで山田英明を抜いて、獲得賞金8位で競輪祭を迎えたことが大きなアドバンテージとなった。8、9位に北日本2人が入ったことにより、佐藤慎太郎と3人でのグランプリ。最後の最後で年末のグランプリの勢力図が変わった感もある。
21年に愛知から静岡への移籍を表明している深谷知広は、最終日に金子貴志との師弟連係でワンツー。新型コロナウイルス感染症の影響により入場が規制されていたなかでも、師弟の2人にねぎらいの歓声が飛んだ。多くのファンに勇気と感動を与えた名シーンを金子が振り返る。
「(深谷にとっては愛知所属として最後のG1で)あんまり意識をしないようにしていたけど、お客さんがね。それが競輪の良さだと思う。これが無観客だったら、こうはならなかった。あらためてそういう雰囲気をつくってくれたお客さんに感謝したいし、支えられていたんだって思いました。これが決勝だったら良かったけど、(最終日の周回中は深谷との)いろんなレースを思い出しました。(13年深谷とのワンツーで獲った初タイトルの)寬仁親王牌もだし、地元(豊橋)の記念もすごい雰囲気だった。もちろん競輪祭(13年)、グランプリ(13年)もそうですね。これからは違った目線、違うラインで深谷の強さを見られる。そして中部地区として深谷に先着することも大事。そのためには自分がG1に出ていないと」
ダイヤモンドレース、そして念願の初タイトル。郡司浩平に大きく貢献した松井宏祐は、昨年8月のオールスターがビッグ初出場。そこから1年ちょっとでG1初ファイナルまでこぎつけて、大舞台でもその機動力を見せつけた。
「(郡司がG1を獲って)良かった。ホッとしたのもあるけど、僕ももっと頑張らないといけない。(同じナショナルチームの)脇本(雄太)さんだったら、あれで郡司さんとゴール勝負ができてたと思う。やるべきことをやったけど、これが最後じゃなくて郡司さんとゴールデンコンビと言われるようにならないと」
昨年のは腰椎のヘルニアにより長期の戦線離脱を余儀なくされていた鈴木庸之だったが、昨年2月の全日本選抜以来となるG1で初の決勝進出を果たした。
「去年は人生で一番キツかったので、何があってももう心は折れないなっていう自信があった。だから、上がっていく一方だって思ってやっていた。ただ、もっとやらなきゃいけないところ、自分の足りないところもわかった。来年は(10月に)地元で寬仁親王牌があるんで、それまでにもう1回G1の決勝に乗りたい」
シリーズ最終日に北日本の2段駆けを粉砕した吉田拓矢だったが、「先行選手として勝負ができなかった」と、反省の弁。勝ってもさらなる高みを目指すその向上心こそが、来年のビッグ初制覇につながっていく。
「昨日(5日目)、今日と感触が良くなってきた。最初からこの感覚で入れれば、また違ったと思う。調整がヘタすぎた。ちょっと(疲れを)抜きすぎた。(セッティングは)5日目で出た感じがする」