GPの椅子巡る最終決戦
競輪祭の概定番組は他のG1大会と大きく異なる。全員が一次予選1、一次予選2を走り、合計ポイント上位者9名が、全員準決に進めるダイヤモンドレース、以下は二次予選A、二次予選B、選抜に振り分けられるシステム。
SS班でも一次予選で姿を消してしまう可能性があるサバイバルレースだが、輪界トップの脇本雄太にとっては何の問題もない。一昨年はオールスター、寬仁親王牌、昨年はウィナーズカップ、日本選手権、そして今年は高松宮記念杯、寬仁親王牌とビッグレースで勝ちまくっているスピード、航続距離は一ケタ違うし、競輪祭は一昨年に参戦して着と連を外していない。いつも通りの自力攻撃で別線をねじ伏せて競輪祭初Vを達成し、グランドスラムに王手をかけよう。今年のG1大会において、脇本をマークして食い下がった実績がある近畿勢は東口善朋、稲川翔、古性優作。まだ交わした選手はいないが果たして。
獲得賞金ランキングで2位以下を引き離してトップを突っ走っている松浦悠士の充実ぶりは素晴らしい。オールスター、ウィナーズカップのVはさることながら、今年は決勝を1回も外しておらず3連対率は約83%を誇っている。脚力では脇本に一歩譲るが、総合力なら松浦に軍配が上がる。同じく今年は全日本選抜、サマーナイトを制覇した清水裕友は獲得賞金ランキング3位。オールスターあたりからやや調子を落としていたが、11月防府記念では着と大会3連覇を達成し、地元ファンの期待にきっちり応えた。気分を良くして参戦できるだけに松浦との黄金タッグからは目が離せない。
組み立てに積極さが増した新田祐大も有力な優勝候補の一人だ。目に見えて仕掛けが早くなり、逃げの決まり手も増えている。もちろん結果も出ていて、共同通信社杯着、9月青森記念着、寬仁親王牌着。今年はまだ6場所しか走っていないが、獲得賞金ランキングを10位まで押し上げている。17年以来となる競輪祭2V目を達成する場面も大いにありそうだ。新田とは連係実績が豊富な佐藤慎太郎は、ベテランならではの安定プレーを演じている。獲得賞金ランキング5位に付けている。最近は勝ち星も増えていて、チャンスが巡ってくればものにできる状態にある。
競輪祭は3V。この大会は相性がいい平原康多も好勝負が見込める。今年はビッグレースのVには手が届いていないものの、10月京王閣記念では、持ち味を存分に発揮した競走で記念4V目をゲットしている。獲得賞金ランキングは4位で、グランプリ出場にも当確ランプが灯っている。
昨年に続きグランプリ参戦を目指す郡司浩平は、獲得賞金ランキング6位。今年の記念4Vは平原と並ぶ数字で、全国各地で素晴らしいスピードの切れを披露している。初のG1制覇に機は熟した。
地元の九州勢では山田英明に期待がかかる。共同通信社杯では決勝1失を喫したが、それでもグランプリ出場のボーダーにいる。全日本選抜、オールスター、寬仁親王牌とG1で3回の優参は地力の証明だろう。持ち味の自在戦が奏功なら連食い込みも。