現行競輪最後の千葉市営開催となった千葉競輪開設71周年記念「滝澤正光杯in松戸」は、岩本俊介が人気に応えてＶを達成。和田健太郎が2着に続き、地元ワンツーという最高の形で千葉記念競輪の71年の歴史に幕を閉じた。

　滝澤正光さんの一番弟子である伊勢崎彰大は、「この大会はなによりも欲しいタイトルです」と話すように、毎年、このシリーズにかける思いは誰よりも強い。今年は一次予選で敗れてしまったが、２日目以降も気持ちを切らさず、シリーズ２勝をマークした。

　「勝ち上がりに失敗したのは悔しいですけど、気落ちしたままあと３走、走るのではなくて、きっちり立て直して最終日まで走り切るっていうのが僕の使命だと思いました。滝澤正光杯ってことで、今はみんなの先生ですけど、僕にとっては恩人なので、顔に泥を塗らないように、先生に褒めてもらえるようにと思って走りました。来年からは松戸記念が滝澤正光杯になるので、その名前がある限り、僕は全身全霊で戦います。来年からもこの大会では普段とは違う僕をお見せできるんじゃないかなと思います」

　前回の別府記念で３勝を挙げていた野口裕史にも期待が集まったが、今回は苦手な短走路に苦しめられ未勝利に終わった。

　「気合いは入っていたけど、前半はそれが空回りしてしまって、ふわふわしてしまいました。３日目の朝くらいから練習の時の感じが戻ってきて走れました。抵抗勢力がいる時に、自分を出させない雰囲気を出してくる中で、自分が踏むタイミングだったり、そこをどう乗り越えるかだったり、出切ってからのペースだったりが課題ですね。１月は奈良と伊東なので33が続いて不安ですけど、払しょくできるように頑張ります」

　一方で、染谷幸喜は一次予選で中村浩士、二次予選で和田健太郎を振り切って無傷で予選を突破した。

　「まさか連勝で勝ち上がれるとは思ってなかったです。でも、準決勝が消極的でした。相手が強い時に通じないので、柔軟に考えて自分の武器をもっと増やさないといけないと思いました。今の自分の武器は長く踏めることと諦めないこと。課題が見えた開催だったし、今期はＳ級１班の点数が取れそうな感じなので、自転車を始めた当初からすると一歩ずつ、少しずつ成長できているのかなと思います」

　二次予選と最終日の特選で白星を挙げた渡邉一成は、今年のグレードレースを終えてこう振り返る。

　「コロナ明けから良くなってきて、最近は７車立てのＦ１もあったけど、成績良く走れているので、勢いのある時に、グレード戦線でも活躍したいっていう気持ちがあります。なので、今回とかはすごい悔しい。（準決勝は）僕の攻め方で後ろ攻めっていうのはキツかったけど、あれで前まで叩ける脚がないと」