ピックアップ GⅡ 宇都宮 03/18
まくり3連発。無傷でファイナルに進んだ脇本雄太に、久々のビッグ制覇の期待も高まったが、終わってみれば見せ場なく6着。ラインの古性優作(7着)、浅井康太(8着)にも、チャンスをメイクすることはかなわなかった。
「発進、発進を見逃していたらこうなってしまうのは、奈良記念の時からわかっていた。そこを対応していかないとしょうがない」
2月の奈良記念決勝では、石原颯の引き出しで松浦悠士、宮本隼輔のワンツー。そしてまたしても中四国勢にしてやられた。別線を引き付けることなく出た松浦の好判断でもわかるように、中四国勢は層の厚さを生かす術を心得ている。脇本は、昨年8月のオールスター以来のビッグ出場。疲労の蓄積からくる骨折から復帰3場所目だったこと、さらにこれまでのパフォーマンスを考えれば、そこまでは責められまい。
2月全日本選抜に続いてビッグ優出の深谷知広は、着。18年7月サマーナイトフェスティバル以来のビッグ表彰台。「今回(4日間)は内容が伴ってなくて、最低限ですかね」と、振り返ったように、一度も主導権を握ることなく納得のできるシリーズではなかった。だが、違う見方をすれば、本来の持ち味を出すことなく、成績をまとめて決勝に進んだ。高橋晋也に突っ張られて、再度まくり上げた一次予選を見てもわかる通り、今シリーズの深谷は一味違った。
「来る前にこれ以上キツいことはないっていう練習をやってきた。疲れを残したまま、ここに入ってきている。レース以上にキツいことをやってきたから、最後まで踏み切れているんだと思います。頭と体の感覚のズレがまだあるけど、思った以上に動けている。この感触を大事にして、しっかりと自分のなかでモノにしていきたい」
5月のダービーに照準を合わせている深谷には、まだまだ上積みがある。
特選からスタートした伊藤颯馬は、着で二次予選敗退も3日目は山崎賢人のまくりを交わして1着。目を奪われたのは最終日に、郡司浩平マークの松谷秀幸をさばいて、郡司のまくりにスイッチして追い込みシリーズ後半で連勝を遂げた。
「(最終日は)1回切ってから、同期(寺崎浩平と菊池岳仁)でモガき合わせてっていう感じだったんで作戦通りでした。あとは郡司さんが構えてくれたらと。まさか番手にいけるとは思ってなかった。とっさに体が動きました。ああいうのはレースでは初めてだと思います。踏みながらペースも上がってたけど、それでも少しは自在に動ける自信もついたかな。(3日目もそうだけど)番手戦も少しは増えてくると思うので勉強していきたい」
今シリーズがビッグ初出場だった松本秀之介は、着といいところがなかったが、最終日はラインを上位独占に導いて2着。吉田有希を叩いての先行策で手ごたえを感じた。
「(最終日は)吉田君(ライン)の後ろからいって、フタをしながらと思ってた。そしたら隙があって出られてしまった。外に浮いたんでもう仕掛けるしかなかった。3日間、不甲斐なかったけど、今日(最終日)はしっかりと前に出られた。なんとか最終日はって感じですね。今回が初めてのビッグで、どの選手もみんな強くて隙がない。自分は隙を突かれて、後方に回されたりしてしまった。先輩たちにもアドバイスをもらったんで、次のビッグではもっと戦えるように」