ピックアップ GⅢ 向日町 09/24
昨年に続いて脇本雄太が、4連勝の完全Vで向日町記念を連覇。前団の動向には一切お構いなしのまくり3連発での勝ち上がりには賛否があるものの、「本来なら初日特選で強気なレースをしないといけない。けど、なかなか体が動いてくれなかった」と、その気配はすでに初日からあった。昨年はこのあとの久留米G3の途中欠場から、疲労骨折により長期の戦線離脱を余儀なくされた。しかしながら、今年はすでに2冠を奪取して、年末の大一番、グランプリを控えているだけに同じ轍は踏めまい。
デビューから一貫してラインの競輪を地で行く脇本が、勝つことだけにしか徹することができなかった。そのコンディションだったということだろう。村上兄弟不在のなか、重責を果たした脇本には敬服するしかない。
46歳の中村一将も、脇本同様に近畿のラインを大舞台で引っ張ってきた1人だ。今シリーズは“一撃必殺”で2勝をマーク。その成績以上に大きな収穫を得た。
「(最終日も)いつも通り、行くか引くかでした。(2勝できたのは)上デキです。同地区の稲川翔君だったり、山崎芳仁選手、佐藤友和選手。タイトルホルダーに話を聞いて、いままで気づかなかったことに気づいた。自転車の部品の特性だとか、いろんなことを教えてもらった。成績以上に実りのある開催でした」
シリーズ3連対。一、二次予選を連勝で勝ち上がった吉田有希は、準決での敗退が悔やまれる。最終日には先行策でワンツーの神山拓弥からも「今後を考えると、有希君には自分を振り切って、逃げ切ってもらいたかった」と、仲がいいからこその辛口なコメントもあった。
「(準決は)僕の不器用さが出てしまった。完全に僕の組み立てミスですね。(高橋)晋也さんが待っている感じもあったので、仕掛ければ出られたのかなと。(次の寬仁親王牌まで)すごい空いているので、しっかり練習したい。寬仁親王牌では、こういうミスをしないように。G1の舞台でもっとレース慣れをしないと。自分のやりたいレースができるようにもなってきたので、1つ1つ課題を消していきたい」
第一子の誕生で久々のレースにも力がこもった内山雅貴は、4着。ラインで上位を独占した最終日に象徴されるように、仕上がりの良さが目を引いた。
「いまは深谷(知広)さんのフレームで深谷さんのセッティングで、深谷さんに教えてもらった練習をやれている。2場所前の川崎から深谷さんのフレームを使っていて、使い始めはぶっつけ本番だったけど、この1カ月でセッティングも教えてもらった。練習ではダッシュとトップスピードを上げるようにやっています。先行、先行って言われているわけじゃないんですけど、自分がその方がいいかなって思ってやってます。今開催はいままでとは違うものが見えました。最終日も2周いって粘れているので、このまま先行でやっていけるように」
4日間すべてバックを取った根田空史は、準決でも脇本雄太を相手に先行策で魅せた。豪雨のコンディションのなかの最終日は、師匠の中村浩士とのワンツーでシリーズ一番の感触を得た。
「昨日(準決)のレースのあとにワッキー(脇本)にセッティングをみてもらって、そこを修正したらバッチリ決まった。最終日が4日間のなかで一番余裕がありました。この(バンク)コンディションなんで(中村に)抜かれるのはしょうがない。(バンクの)状態が良ければ、逃げ粘れたかなっていうのがありました。新車が間に合うかどうかわからないけど、次の松山(10月13日から)は好きなんで頑張りたいですね」