ピックアップ GⅢ 富山 11/17
G1組が不在の開催らしく、若手機動型の活躍が大いに目立った今開催。ついにG3初優勝を果たした飯野祐太も、永遠の若手と揶揄されることもあった。飯野のこれまでの北日本への貢献度を考えると、この先何度G3優勝を重ねても、おつりがくるほどだ。優勝後に絞り出した「やっとですよ…」の一言が、なんとも印象的だった。
今節で一番の変わり身を果たしたのは伊藤慶太郎だろう。輪界のトップをひた走る先輩からの助言と、思わぬ贈り物で一気に本来の輝きを取り戻した。
「平原(康多)さんからフレームをいただいて、それがめちゃくちゃよかった。セッティングも一発で出て、富山に来る前の練習からめっちゃ良かったんですよ。それが出せればと思ってたら、出せたので。最終日も(別線が3番手にハマる)あの展開を覚悟した上でカマシに行きました。とにかく力を出し切る競走をしようと初日からずっと思ってたので。負けたけど、行くところを行く競走ができたし、あとは今回の競走を振り返ってどういうところを改善していくかしっかり考えて練習する。出し切る競走を連日できて、それが結果にもつながったのが嬉しかった」
上田尭弥は、熊本記念in久留米から寬仁親王牌、そしてF1戦を2本の間、全て勝ち星がなかった。今節も二次予選で敗退し、3日目の敗者戦もまくり届かずの2着。セッティングを試行錯誤しながらも、なかなか明るい兆しが見えてこない。そんな中で、最終日は地元の宮越孝治とワンツーで久しぶりの白星をゲット。レース後は、ここ最近にない晴れやかな表情を浮かべていた。
「最終日はうまく立ち回れました。一回突っ張ってから、ペースを上げて他が切れないようにして、カマシを受けて車間を空けながら早めに行こうと思っていて。地元が後ろだったし、ラインで決めるには早めに行くしかないので。セッティングは、開催中にいろいろなアドバイスをもらってもうモヤモヤがなくなった。あとは体と気持ちの問題です。もうセッティングはいじらない。良い流れがやっと作れたと思う」
落車のケガから6月久留米記念で復帰した吉本卓仁だが、ここにきて本調子を取り戻してきた。勝ち上がりこそ二次予選までだったが、最終日には竹内雄作のカマシをすんなりとまくってシリーズ3勝目を挙げた。
「脚が戻ってきて、逃げてもまくりでもちょっとは勝負できるようになってきたかな。それで仕掛ける勇気がじわっと出てきた。自分はこそっと自力なんで。まだまだ足りないなって思うところはいろいろある。昔だったら勝手に車間が詰まったり、体が反応する感覚があったんですけど、今は頭で考えるのが先に来ている。あとは基礎体力を付ける練習もやっていかないと。へこんでいた時期が長いから戻すのにも時間がかかる。来年くらいから、地元記念のある夏くらいまでかけて長いスパンで戻していきたい。G1にもう一回出られるように」
北井佑季は決勝8着も、連日の内容はその強さをさらに印象付けるものだった。前受けからの突っ張り先行は、いまや北井の代名詞となった。突っ張り先行プラスアルファ。戦法のバリエーションを増やして、南関を代表する機動型へと進化していく。
「野口(裕史)さんは、自分がデビューする前から映像で見ていて、あんな先行選手に前を任せてもらえる選手になりたいと思って今までやってきた。決勝はとにかく前に出切ることが自分の仕事だったけど、行くだけにはなりたくなかった。後ろがゴチャ付けば自分にもチャンスはあると思って、出切ってからは自分との戦いでした。今の課題は、突っ張りじゃない時の柔軟性。得意な形にならなかった時にどう対処するか。残り2周半か、2周から突っ張るレースが多いですけど、それを見せておけば相手も突っ張られないように切るときに脚を使ってくれるし、突っ張りがあるってことを武器にして、いろんな形を作っていきたい」