ピックアップ GⅢ 松戸 12/08
競輪祭の後とあって、参加したS班は清水裕友のみ。脚力拮抗の短走路では、その清水すらも二次予選で敗退と波乱が続いた4日間だった。決勝は地元勢がワンツーを決めて締めくくったが、小さな展開のあやで全てが変わってしまう競輪の恐ろしさを改めて思い知ったシリーズだった。
福永大智は二次予選で清水を不発に陥れる先行策。今節2勝をゲットし、目標としていたウィナーズカップの出場権をほぼ手中に収めた。
「(最終日は)基本的には自分が前に出たら誰も出させたくないし、前を取っての組み立てと思っていました。順番で山岸佳太さんが叩いたところを行こうと思ったら、降りられて内に差しちゃったので、まくり追い込みみたいになった。山岸さんがまくっていったところは冷静に詰まったところで仕掛けられたし、良かったと思う。今日のメンバーで1着を取れると思ってなかったし、今回でウィナーズの権利を取れるとは。一歩ずつですね。(ウィナーズカップは)強い気持ちで戦いたい」
原田研太朗は10月京王閣記念で、今後は一切人の後ろは回らずに、自力を貫き通すことを宣言。大敗続きだった京王閣記念とは対照的に、今節はシリーズ3勝を挙げた。最終日には位置取りにもこだわった。賛否両論ある外野の声には、結果で応えていくしかない。
「(最終日の)このメンバーなら中団は回れるかなと思っていたし、そこは譲れなかった。(外併走は)普段やらないことをやったからきつかった。ヨコはできればできるようになりたい。そういう時代ですし。1着を3回取れて、しり上がりに良くなっていった。いきなり自分のスタイルが出来上がることはないですし、先を見据えて数か月かけて確立していきたい」
その原田が目指すスタイルを分かりやすく言うならば野田源一がもっとも近い。最終日に44歳の誕生日を迎えても、野田の気持ちが揺らぐことはない。
「今回は直前に体調を崩して寝込んだこともあって、シリーズを通して重かった。最終日も本当は外を踏みたいけど行けていない。反応できていなかったですね。見えてはいるけど、動けていない。誕生日に本当は1着を取りたかったですけど。もう44になりましたけど、それでも今のスタイルでやっていきたい。どこまでやれるかってのは自分でも思うけど、やれるところまではやっていきたいので」
北井佑季は、強さと共に脆さも露呈したシリーズだった。戦法通り、実直な性格の北井なら、今節の経験を必ずや次につなげるはずだ。
「力で戦う相手にはねじ伏せられるレースが増えてきたけど、準決の山崎(芳仁)さんみたいなうまさだったり、山口(翼)さんのうまいタイミングでのカマシだったり、うまさが噛み合うと自分の強さを出せない。こればかりは走らないと分からないので良い経験ができたと思う。それも負け戦じゃなくて、準決という勝負のかかった所で経験できたのはよかった。こういう経験を増やしていかないと、今後G1に行けば強さとうまさを兼ねている選手ばかりだと思うし、どっちかしか持っていないのはダメだと思うので。年末のグランプリシリーズは記念よりも緊張感があるかもしれないし、そこでも良い経験ができれば」