すでに今年だけで５度の連係、その５走すべてがワンツーの古性優作、脇本雄太のコンビが、シリーズ三度のタッグとなった決勝。プレミア感こそなかったものの、脇本の加速力に対応して、新田祐大の飛び付きをいなした古性の芸当は、誰にもマネできるものではない。２日目のスタールビー賞でも郡司浩平との壮絶なポジション争いを制した古性の脚力に裏付けされたテクニックは、見ていてほれぼれするものがあった。脇本が昨年末のグランプリのようなデキにあれば獲りにいく組み立てで、そうでければ古性が獲る。北日本をはじめとした他地区も指をくわえて見ているわけではないが、しばらくはこんな流れがビッグ戦線で続くのかもしれない。

　元気がなかった地元地区だったが、ベテラン香川雄介が気を吐いて優出。決勝にはたどり着くことはできなかった犬伏湧也も、シリーズを３勝。最終日はいままで苦手としていたロングスパートで、深谷知広にレースをさせない積極策から押し切った。

　「（最終日は）最終ホームからバックにかけてすごくスピードを上げていくイメージで駆けました。それでまくりに来られないようにと。昨日（準決）の先行が、今日に生きたと思います。１カ月（１月）レースがなかった期間があって、苦手なことをコツコツとやってきたのが結果として出ている。苦手な部分が克服できて、レベルアップできていると思います。準決でもああやって（打鐘から突っ張って）先行しても、３着までに入れるようにならないと。それくらいの意識で精進していきたい」

　アクシデントなくＧ１を走り抜いてのシリーズ未勝利は数年なかった平原康多が、➑着の現状を冷静に分析する。

　「（今回は）自転車を新しくして、初日は戦えるデキじゃなかった。ただ、初日はどんないい状態でも、（あのレースの流れでは）連に絡むのは厳しかったかなと。準決からかなりセッティングが出てフィーリングが合った。マッチしたんで、（準決は）かなり悔しい負けでした。超一流の選手が相手だし、ちょっとしたズレが勝敗を分けてしまう。そういう意味ではＧ１を走って気づかされることが多い」

　「Ｇ１で４日間、先行をしたのも初めてなんで」と、シリーズを振り返った谷口遼平は、８回目のＧ１となった今シリーズが着。最終日は根田空史を突っ張り切って、ラインの三谷将太とワンツー。明らかに走りが変わって、存在感が増した。

　「（最終日は先頭に立ったら根田が）いつ来ても突っ張ろうと思ってました。（ラインの）３人で決まったっことがなによりです。去年は苦しんだんで、今年はしっかりと力を出し切ろうと。その意識がいい方向に出ている。自分がしっかりとやれることをやれば、ラインとして付いてもらえると思うので、これからもっていう思いです」

　レースセンスはこれまで通り言うに及ばずだが、勝負どころでの反応も光っていた嘉永泰斗は、新車にも好感触を得ていた。

　「今開催は動きがいいんで（最終日も反応ができた）。（今回から新しくしたフレームは）手ごたえバッチリです。（先行して７着になった）３日目に関しては、いまの自分の脚なら吉田有希を突っ張ればゴール勝負か４、５着にはと思ってた。なので課題もあります。組み立てにしても甘いところがあって、それだと上のレースではダメですから。ウィナーズカップ、ダービーでは修正したい」