ピックアップ GⅠ 松戸 10/02 L級2レース3日制C
潔いまでの力勝負だった児玉碧衣が、1周半以上をスパート。太田りゆを不発にして、2番手の久米詩をクギ付け。G1のファイナルにふさわしい先行策だったが、それを上回るパフォーマンスを見せた佐藤水菜が1人だけ次元の違うまくりで女王に輝いた。児玉と同じように佐藤が逃げて、児玉がまくりに構える真逆の展開だったら、結果はどうなっていたのか。そんな“タラレバ”に思いを巡らせるほど、また見たいと感じる決勝だった。
練習中の落車で大怪我を負った石井貴子は、およそ4カ月と長期に渡る戦線離脱を余儀なくされて7月の前橋で復帰。復帰から7場所目となった今シリーズで完全Vを飾った。怪我に見舞われてからの初めての優勝が、逃げ切り3連発。ガールズケイリンフェスティバル、ドリームVなどこれまでの実績を考えれば当然の結果かもしれないが、あくまで基本に忠実に3日間を組み立てた。
「(決勝も)初日、2日目とプラン変更はなかった。しっかりと行けるところから、自分のできることをって思ってました。(連日同じようなポイントからの仕掛けで)たいして難しいこともしてないし、基本の競走で自分のできる精いっぱいでした。(地元でお客さんが)たくさん声をかけてくださったし、(自分は)精いっぱい走ることしかできない。ちょっとずつでも(お客さんに)返せたらなと。(脚の感触は)自分の評価はアテにならないし、(周りには)どんな風に見えているのかわからないですね。(長期欠場から復帰して)走らないと、スタートを切らないと(優勝は)絶対にないことなんでゴールができて良かったです。今日できる精いっぱいをっていう思いで3日間を走れたかなと思います」
G1出場は来年以降になるものの、確かな一歩を踏み出した石井のカムバックを待ちたい。
ルーキーシリーズでは2度の優勝、9月のルーキーシリーズプラスの一発勝負を制した在所ナンバーワンの竹野百香。今シリーズは完全Vを狙うとの言葉通り、本格デビューの7月以降の初優勝を3連勝で飾った。
「(まくりで優勝した)今日の決勝は、私が先行していたら勝てなかったかもしれない。もっと自力の脚をつけて、それでしっかりと完全優勝できるようになりたい。(G1には)早く出たいっていう気持ちはない。自力でしっかりと脚をつけてから。3、4年後…、遅くても5年後くらいには、そういう舞台に立てたらと思います」
東美月は2日目の予選で石井貴子にカマされながらも、前受けから飛び付いてあとの5人をシャットアウト。2着に粘り込んだ内容が、自身にとっては大きな収穫になった。
「(本格デビューの7月からは)先輩たちのレースに追いついてない。よく師匠(澤田義和)にもヘタクソだなって言われます。まだ、組み立てがわかってなくて、ハマったり、ハマらなかったり波があります。安定感がないですね。ルーキーシリーズはそこまで動きがなくて、動く人も学校(養成所)時代からわかっていた。先輩たちとはまだ対戦が少なくて、特徴もわかってない。でも、徐々にレースには慣れてきています。(卒業してからは)地元に帰って(練習で)男子選手に付いて、追走技術もタイムも上がっている。それでもトップスピードというか、瞬発的に動くのが苦手です。そこに対応できないのが課題です。(レースでは)基本的に後ろ、後ろにいるので、師匠にはもっと前の方にとか、自分で仕掛けるようにって言われます。けど、その勇気がない。今日(2日目)は前の方にいられたんで、その一歩だと思います。自分はバーンと成長ができるタイプではないので、1つ1つ積み重ねて強くなりたいです」
最終日だけの補充だった五味田奈穂は、突っ張り先行から押し切って地元で白星。本格デビューの7月からこれで5勝目も、1着はすべてシリーズの最終日に限られている。
「予選を上がれてないっていうのは、大きな課題だと思っています。でも、一般戦で1着を取れているっていうのは評価してもいいかなと。(上位の選手との)大きな差としてはトップスピード。自分はパワータイプではないので、そういうところが大きな差になっている。いまは脚をつけて、まだ名刺配りの時期だと思っています。自分が駆けるっていうのを認識してもらえるように。自分のなかで最初の何年間は風を切って、前を走るスタイルでと思ってます。そのあとも、そのまま先行をやっているかもしれない」