激しさを増すライバル対決
普通開催では白星ラッシュの強豪しかいないので勝ち上がりで波乱の余地は十分あるが、V争いは最終的に児玉碧衣と佐藤水菜の一騎打ちになるというのが大方の見方だろう。ガールズケイリンを長年に渡りリードしてきた児玉、ナショナルチームのエース佐藤。両者の争いは昨年7月のオールガールズで1着同着して以降は佐藤が勝ってきたが、ガールズドリームレースで児玉が一矢報いた。佐藤が出切った瞬間に児玉が叩いて先行勝負に出て押し切り勝ち。意表を突いた仕掛けで長い距離を踏み切る大胆さが光ったが、一番のライバルを倒してグランプリでの大怪我を克服してさらなる進化を遂げたことを証明してみせたのは大きい。パールカップを制してすでにグランプリ出場権を手にしている児玉はプレッシャーなく戦えるという他の出場メンバーにはないアドバンテージもある。9月四日市を腰痛で当日欠場した影響がなければ、伸び伸びと自分の競走で佐藤を返り討ちにするとみた。
来年のパリ五輪で結果を出すために今が正念場の佐藤は、この一戦の直前も国際大会に出場する。準備して仕上げて臨むのは難しいが、グランプリで昨年の雪辱を果たすためにも出場権は是が非でも手にしたいだろうし、“世界のサトミナ”は多少のハンデなど問題にしない。ケタ違いのスピードで繰り出すカマシ、まくりか、絶妙なペース駆けに持ち込むか。これまで通り、自分の感性に任せた変幻自在な仕掛けで児玉らを翻弄してみせたい。
2強に割って入るなら、ナショナルチームで佐藤と鎬を削る太田りゆか、今年のガールズで話題を集める久米詩、坂口楓華。太田はガールズドリームレースで児玉に迫る2着で今度こそビッグレースで勝つという思いを強くしたことだろう。久米は5月のコレクション、ガールズケイリンフェスティバルの覇者で、児玉越えも果たした。完全優勝した9月前橋では逃げ切りもあって、照準を合わせているこの大一番にも万全の状態で挑めそう。坂口は怒涛の32連勝で1年をスタートさせ、近況も白星ラッシュ。練習の成果で、以前より仕掛ける勇気も増している感がある。そろそろビッグで大仕事をやってのけたい。
石井寛子、尾方真生、吉川美穂、柳原真緒、小林莉子、山原さくら、鈴木美教。賞金ランクでトップ10に入っている選手は優劣付け難く、全員チャンスが巡ればモノにしてきている選手ばかり。今年58勝、15Vの数字は他の選手を上回る尾方は大きな舞台に弱いイメージをそろそろ覆したい。安定感はさすがの石井、勢いがある吉川、山原らも波に乗って一発があっても驚きはない。