ピックアップ GⅢ 小田原 10/12
自身を含めてシリーズすべてでラインに1番車を擁した地元の北井佑季は、決勝もS取りから四度の突っ張り先行を敢行。実質的な先行1車のメンバー構成にも関わらず、オーバーペース気味に駆けて自らを追い詰める形になり6着に沈んだ。その利をモノにしたのが、4番手からまくった宿口陽一。初手で単騎の3人を後方に置いて、4番手確保が大きな要因だったのは言うまでもない。決勝に限らず車番の重要性が浮き彫りなっているだけに、車番抽選や準決の1着選手が優先的に内枠を与えられるなどが、G3の決勝でもあってもいいのかもしれない。
決勝では8、9番手に置かれたこともあり、柴崎淳、久田裕也は動けなかったが、7番手まくりの山本伸一が準V。近畿地区以外の連係を模索することなく、一撃にかけた単騎であわやのシーンをメイクした。
「(決勝は)僕が動いてよりも、(脚を)ためてと思っていた。仕掛けようって踏んだ位置と、宿口君の踏んだところが合ってしまった。(宿口を)乗り越えられなかったけど及第点ですね。自分にも宿口君の位置があったら、(優勝の)チャンスだった。ただ、(ウォーミングアップ中に)体の使い方でふと浮かんだことがあって、それを試してみたい。帰ってから突き詰めます。そこがハマれば、上積みもできそうです」
一次予選でまさかの6着。早々にシリーズから脱落した桐山敬太郎だったが、2日目以降は着。4走すべてが番手回りで、地元の功労者、桐山のために自力選手が奮闘した。
「初日の大切さが、身にしみましたね。でも、後半はいい結果が出た。自分の場合は、結果と手応えがチグハグなことはほぼない。自分のなかでやれるなって手応えがあったし、結果が出てる時はいつもいい。(今期98点台で)正直、S級点ギリギリだと失格できないっていうのがある。いつ失格してもおかしくない戦法なんで、点数的には余裕をもちたい。いまぐらいの点数と、クラスで走っててもいいかなって思っちゃう時もあったけど、それじゃつまんない。もういっちょ上を目指したいね。まだ(来年の)ダービーもあきらめてないんで、休まずに走るつもりではいます」
新田康仁は今シリーズまでに、今期すでに16勝をマークして勝ち星を量産している。前回の久留米G3から中1日のタイトなスケジュールでも、一次予選で勝ち星を加算して3連対。練習用のフレームとシューズでシリーズをスタートさせたが、最終日にようやく万全の機材がそろう慌ただしい4日間でもあった。
「(3日目に)シューズと車輪を戻して、だいぶ感じが良かった。(エースフレームに換えた)最終日が、やっぱり一番感触が良かったですね。どのレースでも1着を取るつもりでいるけど、3日目は久々にマーク(の決まり手)が付いちゃった。自分は70歳まで(現役で)やるつもりだし、(できることが)なにかあるんじゃないかって試行錯誤をして、練習もしている。競輪が大好きだから、死ぬまでやりたいですね(笑)。勝っても、負けても相手を称えてるスポーツマンシップはもっていたい。もう明日から練習の予定だし、次(10月26日からの玉野F1)ではベストで臨めると思います」
まくりの勢いが良かっただけに車体故障の二次予選が悔やまれる板垣昴は、最終日は後藤悠に前を託してシリーズ2勝目を挙げた。番手での的確な判断も含めて、器用な一面も見せた。
「(3日目以降は)自転車の方は大丈夫だったけど、体の方が初日、2日目と違ってましたね。また、練習し直して調整します。自分の脚質に合うレースができれば連に絡める。けど、(今シリーズ3度戦った)中嶋(宣成)さんみたいに、もっと積極的なレースをしていかないと。もっと強い気持ちで。師匠(飯野祐太)からはそこまで言われることはないですけど、自分は師匠以上の競走をしていかないとっていうのは思っています」