ピックアップ GⅢ 玉野 11/02
同一記念6連覇という偉業と遂げた清水裕友は、玉野での地元記念ということもあり、前検日からV宣言が飛び出すなど、シリーズを通して思いのほかリラックスムードだった。しかしながら、清水とは同学年で練習仲間でもある取鳥雄吾は、決勝の並びが決まってからは緊張の面持ち。後ろの清水、松浦悠士を従えて、犬伏湧也の番手でという重責は言葉にできないほどのプレッシャーだったのだろう。「次の3月は(取鳥)雄吾の番」と、来年の玉野記念を見据えて、取鳥を労った石丸寛之。その思いは石丸だけではなく、岡山みんなの思いに違いない。
一、二次予選をともに4着。薄氷を踏む思いで勝ち上がった上杉嘉槻は、準決で高久保雄介、村上博幸を連れて突っ張り先行策。新山響平、松浦悠士を相手に抜群の掛かりで、ラインのワンツーに貢献した。最終日は逃げ切りで勝ち星を挙げ、ポテンシャルの高さを見せてシリーズを締めた。
「もうちょっとトップスピードも上げたいですけど、(課題は)組み立てだと思います。ちょっと点数を落としていたんですけど、今回の前検日にハブが固くなっているのに気づいて整備したら良くなった。ここ最近良くなかった原因なのかなって。体自体は問題ないです。やっぱり下りを使ってスピードに乗せる方が得意です。そういう意味でも、やっぱり組み立てとタイミングですね。(準決も先行して)収穫のある開催でした。7車立てより9車の方が得意です。でも、S級点も取らないといけないし、次の静岡(F1)もしっかりと頑張りたい。練習は脇本(雄太)さんと一緒にやらせてもらっていて、弟の勇希君も一緒です。あといまはA級ですけど、岸田(剛)君も強い。すぐにS級に上がってくるので、負けないように自分も頑張らないと」
新山響平は現在の獲得賞金ランクが9位。10位の新田祐大とは1200万円以上の差があり、有利には変わりない。優出を逃した今シリーズだが2勝をマークして、連続のグランプリ出場には泣いても笑っても競輪祭の5走のみ。
「ここが終わってから、またしっかり追い込んで競輪祭を迎えられれば。(今回はハンドル周りとサドル周りのセッティングを変えていたが)悪くないと思います。番手を回った時にもっと視野の広さがあれば。(最終日は)自分の見ている距離感と違ってあっという間に(別線に)横まで来られてしまった。番手の時はもっと番手らしく走れるように。(賞金ランキング)9位なので気にはなりますけど、(G1を)獲りたい。去年は(番手まくりで)獲らせてもらったので、今年は自分の力で獲れるように」
今シリーズまでの直近4場所で1勝にとどまっていた山形一気だったが、3日目、最終日を連勝。展開に恵まれたとはいえないなかでの勝ち星に、自身も手ごたえをつかんでいた。
「守澤(太志)さんにアドバイスをもらって、ペダリングだとか乗り方の感覚をだいぶつかめた。強い人のマネをするのが基本だと思っている。守澤さんが言っていることが全部、できているわけではないし、いきなりそんなにつかめるってことはない。ただ、自分の骨格とかに合った乗り方で、(守澤のアドバイスをもとに)試行錯誤していかないと。(一緒の開催に)ずっと守澤さんがおったらいいんだけど(笑)。でも、感覚は上向きです」
一次予選の動きが光った簗田一輝は、初日の白星で通算200勝のメモリアルを達成。2日目以降は尻すぼみに終わった感もあるが、次の13日からの福井F1でも狙ってみたい。
「(200勝は)そんなに意識はしてなかったですけど、節目だしうれしいですね。しっかりと脚も使っちゃったんでキツかったけど。キツいところを(まくって)行けた。(前回の)松戸の時に自力の時のフレームに戻した。(その前に使っていたフレームは)何回もバックを踏んでも踏めるようなのにしていたんだけど。練習もサボらずにやっているし、ウエートトレーニングもやっている。(このフレームは)重いけど踏めている。徐々に良くなってきている」