ピックアップ GⅢ 奈良 06/06
高松宮記念杯に出場する強豪が不在のV争いは混とんとしたシリーズだった。決勝は三宅達也以外の8人が優勝すれば、誰もがG3初制覇。伏兵ともいえる大矢崇弘は単騎ながら攻めの姿勢を貫いた結果、デビュー9年目でS級初優勝をグレードレースで飾った。
シリーズ前から注目を集めた地元の中井兄弟。弟の中井俊亮は準決4着で惜しくも優出を逃し、決勝で兄・太祐との連係はかなわなかった。ただ、シリーズ2勝を挙げ、4日間、人気に支持されている中での競走は今後の成長につながったに違いない。
「(準決敗退で)かなり悔しかったです。やっぱり自力がまだまだ足りないからこそ、ああいうチャンスをモノにできなかったんだと思います。4月の後半から5月にかけて練習のやりだめはできていたので、ここ最近はレースが続いていたんですけど、調子自体は良かった。9車立ての自力戦っていうのにも特に不安とかはなかったですし、実力不足ですね。(準決は)佐藤(一伸)さんは出させても良かったんですけど、嫌なタイミングで大矢(崇弘)さんに来られてしまった。焦ったわけじゃないんですけど、反応が遅れてしまいましたね。残り1周のあの時点で勝負あった感じですね。本当に悔しいですけど、また来年チャンスをもらえたら頑張りたい」
大川龍二は初日特選を制すと、二次予選をまくりで快勝。準決は三宅達也との車単で1番人気に推され、前団をのみ込む勢いのまくりを打ったが、渡辺十夢のけん制で失速して敗退。だが、今シリーズは4日間、ラインの先頭で戦い、直前の西武園F1で優勝するなど練習での確かな手ごたえをつかんでいた。
「こういう勝ち上がり(初日特選から連勝)をしてこなかったので、落ち着く部分や、冷静にレースを見て、的確に勝ち取るっていう部分が甘かった。練習でこういうレースをしたい。そのためにはこの練習をするというのができている。それが結果につながるし、技術的につめていきたい。(準決敗退で練習仲間の松浦悠士に)帰ったらなんて言われるか、わからない(笑)。年齢は下ですけど、グランプリ王者ですし、学べるところを学んでいきたい」
高久保雄介は最終日に単騎ながら、前に前にと攻めてまくりを打って1着。二次予選でも位置を取ってからのまくりを見せた。今年は1月名古屋F1、2月豊橋F1の連続落車から低迷していたが、復活の兆しが見えてきた。
「(最終日は)内をすくって仕掛けられているし、うまいこといった。最近はまくりが出ていなかったので、(今シリーズで)2発出たのはうれしい。先行だけではなくレースの幅も広がるのかなと。(今年は連続落車をしたが)ちょっとずつ良くなっているけど、よっしゃ、というほどではないです。調子のわりにはやった方だと思う」
高橋和也は1着でシリーズ2勝で3連対。最終日は赤板過ぎに出て、果敢に風を切ると2着に粘り込んだ。前回の玉野F1は「自分の中で上がり最高タイムだったんです」と2日目に上がり10秒7の好タイムも出しているように、37歳にしてスピード強化がされている。
「今年の1月くらいから同期の大川(龍二)さんにワットバイクのメニューを聞いて練習に取り入れています。自分よりも年上ですけど、自力で頑張られているので。学校のころから真面目な方でしたし、開催が一緒の時はいろいろなことを聞いています。最近は番手回りも増えてきていますけど、まだまだ自力で戦うときもある。どうしてもまくりだったり差しが多くなってしまうんですけど、逃げられる時は逃げたいと思っています。来年は名古屋ダービーがあるので、そこに出られるように点数も脚も上げていきたいと思っている。ここ何年もG1に出られていないので、また出られるように。藤井(侑吾)だったり纐纈(洸翔)も頑張っているんで、自分も頑張らないと」