浅井康がV争いの主役
中心は浅井康太だ。グランプリ優勝で得た自信を胸に、迎えた2016年は年頭から抜群のパフォーマンスを見せている。優勝こそ2月奈良記念の一度だけ。それでも今年の勝率は6割を超えており、自力でも番手でもしっかりと結果を残している。今シリーズは中部地区の機動型が手薄で自力で戦う番組が増えそうだが、今年は自力のメンバーで浅井は一度も負けていない。目標不在のシリーズでも問題にすることなく浅井がV戦線をリードする。点数的にも林巨人が浅井マークの一番手。全日本選抜では「余裕がなかった」と連日の好展開を生かせなかったが、地元ダービーは最終日優秀戦まで勝ち上がりと立て直してきていた。再び流れに乗りたい。
対照的に村上義弘は前を任せる近畿の機動型が充実している。年頭は和歌山記念、高松記念と連続優出したが和歌山では落車もあり、状態はひと息の印象だった村上。それでも「順調に仕上がった」と話したダービーではV奪取。並ぶ者のいない第一人者としての威厳を存分に見せ付けた。脇本雄太、川村晃司と信頼できる機動型がいるここもチャンス。脇本の不安材料は競技で実戦を離れたレース勘だけ。川村はセッティング、シューズを換えて気配一変したことをダービーで証明。村上の優勝の立役者の一人となり、自身も準Vと最高の結果を残した。絆の深さを再確認した村上らと決めるか。
総合力なら平原康多だ。奈良記念、ダービーと立て続けの落車はもちろん不安材料だが、走り以上は戦える状態にあるのは間違いない。大宮記念から使ったフレームで「方向性も見え」ている。俊敏な位置取り、パワフルな機動力と個の実力では今シリーズで浅井と双璧をなす存在にあることは間違いない。最近は落車などのアクシデントがない諸橋愛はキメ脚好調。ここも平原という好目標があるなら優勝争いに加わってくるだろう。
山崎芳仁も、今年2度目のダービーで今度こそグランドスラムを達成するためにもここから流れを作っていきたい。番手を回るレースが増えた山崎だが、自力も健在で調子も悪くない。今シリーズも守澤太志や箱田優樹に、注目のルーキー新山響平とスジの機動型は多く、自力のレースは少ないだろう。ラインの軸として積み上げた経験値を見せられるか。
地元勢にとっては年に一度の記念開催。一枚岩で結束して他地区のライバルを迎え撃ちたい。先導役を務める原田研太朗は年頭の立川で記念初優勝を飾るなど今年も好調。勝機を見出せるかは原田次第になりそうだが、渡部哲男、橋本強は地元記念に向けて万全の状態に仕上げてくるだろう。中国勢も地元勢の援護に回りそうだし、濱田浩司も調子を戻している。地元勢の優勝は決勝戦でどれだけ数的優位を作れるかにかかっている。
南関勢は田中晴基に片寄雄己、松谷秀幸と機動型はそろう。それぞれが記念優出クラスの実力を持っており、差し脚切れる松坂英司は勝負強さを発揮するか。
九州勢は山田英明の動きがいい。高松記念決勝でも深谷知に鋭く迫るなど、そろそろ記念初優勝の期待が高まる。