近畿勢が総力を結集
地元エースの脇本雄太が不在でも層の厚い近畿勢がシリーズの流れは譲らない。軸は稲垣裕之だ。2月全日本選抜の失格で6月はあっせんがなく、今回が1カ月ぶりの実戦。レース勘の不安こそあるが、全日本選抜の鎖骨骨折から復調途上にある現状を考えればこの1カ月は貴重な練習、調整期間ととらえたほうがいいだろう。ここからは勝負の後半戦。地元地区の記念でスタートダッシュを決めたい。稲川翔は5月全プロ記念の落車で続く別府記念を欠場したが、これは宮杯へ大事をとってのものだろう。むしろ4月川崎で記念初優勝を飾るなど状態は上向き。稲垣に松岡健介と近畿の機動型が豊富なここなら2度目の記念制覇もありそう。5月宇都宮記念は体調を崩していた松岡だが、続く小倉で今年初優勝と立て直している。
別府記念はまさかの準決勝敗退。シリーズを途中欠場した浅井康太だが、これは全プロ競技の疲れも影響してのものだろう。宮杯の走りを見ての判断にはなるが、宮杯からここまでにも時間があり上積みは十分可能だ。自力自在に総合力は輪界随一。今シリーズは安定感抜群の自力戦がメーンになりそう。坂口晃輔、林巨人は浅井の仕掛けに食い下がって上位進出を目指す。
新田祐大のスピードも争覇の一角を占める。今年は5月を終えた時点で優勝は3月玉野記念の一度だけだが、出場した全てのシリーズで決勝に勝ち上がるなど抜群の安定感を見せている。齋藤登志信、竹内智彦らどれだけ北の追い込み型を連れて勝ち上がれるかだが、たとえ援軍が手薄でも勝てる調子と実力。そろったSSのライバルたちを自慢のスピードで一蹴するか。
南関勢は石井秀治、和田真久留に加え、近藤隆司と渡邉晴智の2人が追加参戦したことで、戦力が大幅に上がった。近藤は相変わらず破壊力抜群の攻めを見せているし、渡邉も差し脚は切れている。石井と和田は宇都宮記念決勝でも連係するなど、ともにシリーズ屈指の自力選手だ。