4人のSS班をはじめ豪華メンバーの競演
SS班4人にグランプリ出場へ獲得賞金で好位置につけている吉田敏洋もいて、役者はそろった。そのなかでもひと際、新田祐大の存在が光っている。競技と本業によるハードスケジュールがたたり、7月のサマーナイトフェスティバルで今年初めて優出を逃し、続く函館記念は欠場を余儀なくされた。しかしながら、G1はすべて優出し6月の高松宮記念杯を制覇。高いレベルで安定をしている。メンバー、レース展開に大きく左右されることなく自らの走りを追求し、結果へとつなげている。ここも新田がV争いをリードしていくのは間違いない。
気心の知れた村上博幸の欠場で戦力ダウンは否めないが、稲垣裕之が気力を振り絞り近畿勢を支える。函館記念1143着で準決惜敗の稲垣だったが、2月全日本選抜の鎖骨骨折から立ち直り完調に近い状態。脚の仕上がりには自身も納得で、オールスターにきっちりと照準を合わせていた。惜しくもタイトル奪取はならなかったオールスターだが、動きは上々で不安は疲労残りだけだろう。
武田豊樹、吉田拓矢の茨城勢が関東の中軸を担う。弥彦記念の準決でデビュー以来初めての落車に見舞われ、最終日を待たずに欠場の吉田拓。怪我の具合が心配されるが、参戦となれば武田にとっては朗報に違いない。その武田は高松宮記念杯での落車から、サマーナイトフェスティバルで1カ月ぶりに復帰し132着の準V。3走すべて番手での立ち回りとなったが、俊敏な立ち回りで不安を一掃してみせた。続く函館記念では、久々に自力を駆使するシーンが見られた。現状では課題を残す結果にはなったが、武田自身も前向きにとらえていただけに問題はない。まして、吉田拓のいる今シリーズは番手が濃厚。番手から別線ににらみをきかせてチャンスをつかむ。
今年になってひとまわりもふたまわりも成長した郡司浩平が、地元の小田原記念に初めて参戦。南関勢を引っ張る。今年は1月の和歌山で稲垣、村上義弘らをくだして記念初制覇。高松宮記念杯では、G1決勝の舞台を経験しただけではなく準Vの表彰台。決まり手の多くを占める強烈なまくりに加えて、先行も厭わない積極性も備えている。桐山敬太郎らと強力なラインを形成して、地元から優勝者を輩出したい。
サマーナイトフェスティバル決勝の先行でさらに男を上げた吉田敏のパワーが侮れない。今期はグランプリ出場へ気の抜けない戦いが続く。また原田研太朗、園田匠も展開ひとつで台頭があっていい。