新田祐が2度目の当所で主役を演じる
足首のねん挫が響いたサマーナイトフェスティバルを着。今年初めて優出を逃した新田祐大だったが、その後はオールスター、青森記念、共同通信社杯で順当に決勝へとコマを進めた。また、オールスターから中3日の小田原記念では、準決4着惜敗も2勝をマークとまずまずの動き。リズムを取り戻してきている新田が、圧倒的な爆発力でV戦線をリードする。直近の共同通信社杯は着。自動番組編成で行われた1、2次予選でも流れを見失うことなく圧巻のパフォーマンスを披露した。流れのなかでまくりに構えた決勝だったが、前で平原康多が落車し後続が乗り上げるアクシデント。そのあおりを受けた新田は万事休す。力を余したままレースを終えたが、動き自体は悲観することはない。08年以来2度目の当所で、胸のすくような走りを見せよう。今年だけで新田とは10回以上連係している佐藤慎太郎。今期の勝ち星は8月久留米F1での1勝にとどまり、展開にも泣かされ、いまひとつ流れに乗れていない。が、歴戦を潜り抜けてきた佐藤なら、立て直しは必至だろう。
オールスター準Vで悲願のタイトルはまたもお預けとなった稲垣裕之は、それを引きずることなく、また前に歩を進めている。共同通信社杯では、1次予選を番手まくり、2次予選は近畿3番手を固めて2着に追い込むなど、走りのバリエーションを増やしている。もちろん、その機動力にかげりはない。小田原記念で2度のワンツーを決めた椎木尾拓哉との連係となれば、迷うことなく自力勝負を選択して別線にプレッシャーをかける。弥彦記念に次いで、8月末の奈良F1で今期2度目の失格を喫した椎木尾は、追い込みとしての試練を味わいながらも着実にその存在感を増している。直近の四日市F1ではS級初優勝以来となる久々のV奪取。冷静な立ち回りが光っていて、ここも楽しみは膨らんでくる。
深谷知広は9月青森で今年3度目の記念制覇。ウィークポイントであるムラな面も徐々に解消してきた印象だ。相変わらず、すんなりとは駆けさせてはもらえずフラストレーションも溜まりそうな展開のなかで、ファンの期待に応えるべく勝利を模索している。新田をくだした青森記念のように展開がドンピシャではまれば、逆転は難しいことではない。
海老根恵太、石井秀治、近藤隆司、中村浩士にベテラン鈴木誠、毎年ここに照準を合わせる伊勢崎彰大と地元勢は戦力がそろった。タイプの違う石井と近藤だが、ともに卓越した先行力を備えてる。昨年は別線が分断に出ると、石井の番手から近藤が自力に転じて、その後ろの海老根が追い込みV。近況も高いレベルで安定し勝ち星を積み重ねている海老根が、展開生かし地元記念連覇を目論む。
吉澤純平、吉田拓矢とこれからの関東を背負っていく茨城の2人にも熱い視線が注がれる。小田原で4連勝の完全Vで記念初制覇の吉澤は、タフな精神力を持ち合わせ戦法の幅も広い。吉田との連係から柔軟に立ち回って2度目の記念Vも。