渡邉一地元Vに一直線
昨年は全日本選抜を制し、タイトルホルダーの仲間入りを果たした渡邉一成が地元の牙城を守り抜く。リオ五輪に出場するなど、本業と競技の両立でハードな日程ながらコンスタントに快速ぶりを発揮。グランプリ2016は目標の新田祐が不発で4着も、直線で伸びてきた脚勢は悪くなかった。今シリーズは他にも強力な機動型がいて熾烈なV争いとなるのは必至だが、成田和也、伏見俊昭らと好連係を決めて勝機をものにする。成田は度重なる落車負傷でなかなか波に乗り切れないが、それでも昨年は3Vと随所で貫禄を示した。目標の選手を援護するテクニックには定評があり、渡邉を盛り立てて地元ワンツーを決めるか。伏見は9月玉野支援競輪G3の準Vが目に付く程度の近況だが、中井俊を一気にまくった12月玉野準決など、相変わらずタテの脚は鋭い。地元のペースなら好勝負に持ち込んでも不思議ではない。超エリート街道を驀進中の新山響平は、ヤンググランプリで落車し、12日からの小倉を欠場。出走の際には初日の動きに注目したい。
稲垣裕之は当所欠場を表明。替わって古性優作、野原雅也の若手が奮起する。古性は、昨年はステップアップを遂げた1年で、親王牌でG1初優出を果たすと、12月岸和田では記念初Vを達成した。自力勝負が基本ながらヨコも駆使して好位を目指す変幻自在な走りには注目だ。近畿を束ねるのは村上博幸となるが、近況はあまり調子が安定していない。1月久留米準決では、競り負けて村上らしからぬ大敗を喫している。
中部勢も健脚がそろった。先導役を務める竹内雄作は3月名古屋ダービーで優出、9月共同杯でG2初制覇を飾っている。周囲の警戒が強まり先手を取れないレースも散見するが、先行パワーは輪界で一、二を争う。主導権さえ握れれば、他の自力型を沈黙させる場面もありそうだ。惜しくも昨年は次点でグランプリ出場を逃がした吉田敏洋。12月松山で落車したが、立川記念は力強い走りで優出していて、体調に不安は感じられなかった。最終4角を絶好の番手回りの展開が巡ってくる可能性もあり、首位に躍り出ることも考えておきたい。
個性派ぞろいの九州勢も侮れない。中でも園田匠は怖い存在だろう。昨年後半に入ると持ち味の差し脚が完全復活。全国各地で素晴らしい伸びを披露していた。ここは岸和田記念でもワンツーあった山田英明らと組んで一撃を決めるか。