戦国ムードのV戦線
立川、大宮で記念を連続して優出と2年目のSS班をまずまずの成績で滑り出した稲垣裕之。直近の全日本選抜を7139着でファイナルにコマを進めた。しかしながら、決勝では三谷竜の番手を平原康に奪われ、その平原がV。競り負けた稲垣はシンガリに沈んだ。全日本選抜ではシリーズの4日間すべてが番手回り。近畿の後輩の成長を肌で感じるとともに、番手での立ち回りの難しさを痛感していることだろう。ただ、相手が平原では分が悪かったことも否めない。ここならしっかり位置を守り切り、番手の仕事をこなすだろうし、稲毛健太、南修二、東口善朋のいるシリーズなら、ケースバイケースではあるが、自力勝負の方に比重を置くこととなる。近畿の要として重責を担いながら課題を克服して、稲垣がファンの期待に応えよう。
竹内雄作にとってはこれが5度目のホーム記念。一昨年の前大会では準決敗退と苦汁をなめているだけに、悲願のホーム記念制覇に期するものがあるだろう。昨年9月の共同通信社杯では浅井康の援護もあって、逃げ切りでビッグ初V。輪界指折りの先行選手として、その脚力をアピールした。その後もG戦線で臆することなくレースを支配。別線に反撃の隙を与えない力強い逃げで、追い込み陣の信頼を得ている。走りのツボを誰よりも心得ているホームなら、アドバンテージを生かし前大会の雪辱も難しくはない。竹内を盛り立てるのは柴崎淳、山内卓也。とくに経験豊富な山内は先行選手のポテンシャルを引き出すのがうまく、竹内にとっては心強い。
新山響平、小松崎大地、成田和也、和田圭と粒ぞろいの北日本勢が、別線にとっては脅威。全日本選抜では一次予選を逃げて5着に敗れ勝ち上がりを逃した新山だが、その後は1勝2着1回と格好はつけた。重厚な竹内とはタイプが違い、ダッシュを利かせた先行からスピード勝負に持ち込むと流れは北日本勢に向く。そうなれば段階を踏みながら着実に上昇カーブを描いている成田にチャンスが巡ってくる。昨年9月以来のG1参戦となった全日本選抜を1467着。納得の成績ではないだろうが、復調への足がかりはつかんでいる。
九州勢は中川誠一郎の欠場が痛いが、差し脚鋭い大塚健一郎が侮れない。
一撃の破壊力は引けは取らない吉澤純平、長島大介を擁する関東勢。南関勢は松谷秀幸、和田真久留らがチャンスをメイクすれば、渡邉晴智が確かな判断力とさばきで優勝争いに加わってくる。