地元は譲れない三谷竜
奈良のルーレットバンクを舞台にスピードバトルが繰り広げられる。主役を務めるのは地元の三谷竜生だ。昨年は5月京王閣の日本選手権でG1初制覇。その後は落車が続き、ケガの影響で苦しんだ。今年も1月の和歌山記念、大宮記念と精彩を欠いたが、2月高松記念で気配が一変。2日目の優秀戦から3連勝で記念初優勝を飾った。直後に控える全日本選抜、そしてこの地元記念に向けて、悪い流れを完全に断ち切った。昨年の当地記念は決勝で3着に敗れたが、S班となった今年は必勝を期して臨む。三谷将太は昨年の当地記念の優秀戦で竜生と初の兄弟連係が実現。竜生は逃げて1着、番手で仕事をした将太は3着だった。今年は決勝でのワンツーフィニッシュを目指して強い気持ちで戦い抜く。中井兄弟の走りにも注目が集まる。兄の太祐は昨年、F1シリーズで優勝3回。着実にパワーアップしている。弟の俊亮も順調に力をつけている。2人ともまずは決勝を目標に勝ち上がっていく。
稲垣裕之も有力なV候補のひとりだ。昨年は優勝が1度もなかったが、戦歴は高いレベルで安定していた。昨年11月の小倉競輪祭で落車した影響もなくなり、本来のパワーが戻っている。これだけ地元勢がそろうと連係できない可能性もあるが、たとえ別線勝負になっても力はしっかり出し切る。
武田豊樹、吉澤純平の茨城師弟コンビが地元勢の前に大きく立ちはだかる。武田は昨年8月の平オールスターの落車で骨盤骨折。10月に復帰してからは徐々に回復している。昨年末の平塚グランプリは2着と好走も、今年初戦の和歌山記念は決勝で失格という悔しい結果に終わった。弟子と連係できる今シリーズはチャンスをモノにする。吉澤はグレード戦線での活躍が目立っている。昨年の当地記念は初日に落車して欠場。師匠の前で思い切りよく駆けて悪いイメージを払拭するか。
早坂秀悟は昨年12月の伊東で記念初制覇を果たした。その後も好調を持続している。今シリーズも得意のダッシュを生かして攻める。佐藤友和が早坂とタッグを組む。
昨年の当地記念の決勝は南関作戦が奏功。根田空史が番手まくりで記念初優勝を飾った。最近はウエイトトレーニングの効果で根田は一段と力強さを増している。伊勢崎彰大に復調気配の松谷秀幸、桐山敬太郎ら自力でも戦える選手が南関にはそろっている。うまく連係できれば他地区に対抗できる。
中川誠一郎も忘れてはならない存在だ。昨年10月の地元記念以降、3カ月以上も決勝から遠ざかっているが、一発の破壊力はやはり魅力がある。33バンクで主導権争いが激しくなれば出番が巡ってくる。昨年の当地記念は初日に落車失格。同じ舞台でその悔しさを晴らす。追加参戦の香川雄介は決め脚が冴え渡っている。