戦力充実の中国勢
2月別府の全日本選抜で落車した清水裕友は、左鎖骨骨折の重傷。それでも、地元地区の中国勢は戦力が充実している。最も乗れているのは松浦悠士だ。昨年12月の広島では地元で待望の記念初制覇を果たした。今年に入ってさらに勢いは加速。全日本選抜ではG1初優出を決めた。初日特選、2日目優秀戦はライン3番手から伸びて1着。準決勝は番手戦、決勝は自力勝負と戦法のバリエーションは豊富。逃げから追い込みまで何でもこなせるオールラウンダーとして、完成の域に近づいている。今シリーズも対戦メンバー、レースの流れに応じて、多彩な攻めを見せる。取鳥雄吾、岩津裕介、柏野智典の地元勢は強い気持ちで4日間を戦い抜く。取鳥は昨年の当地記念で準優勝。その悔しさを今年にぶつける。近況はパッとしないが、ここに目標を絞って立て直しを図っている。岩津は過去に3回、地元記念を制している。1月取手F1で落車したが、復帰戦の全日本選抜は3度の確定板入り。鋭い決め脚が戻ってきている。柏野は今年に入って落車3回。それでも大きなダメージがないのは幸いだ。体をしっかりケアして、万全の態勢で迎える。さらに、清水の代わりに太田竜馬が追加で参戦。昨年はYGPを制覇すると、1月高松で記念を初Vと大きく成長している。中国勢と連係なら、心強い味方になることは間違いない。
S班の村上義弘が中国勢の前に立ちはだかる。昨年末の静岡グランプリで落車。その影響もあって今年はここまで思うような結果を残せていないが、力はまだまだ健在。当地記念を2度制しているように、玉野は好相性を誇るバンクだ。三谷が欠場しても自力で強さを誇示する。
吉田拓矢、鈴木謙太郎に芦澤辰弘、神山拓弥の茨栃勢も強力だ。吉田は今年初戦の1月京王閣F1でVスタート。全日本選抜は勝ち上がりに失敗したが、気配は悪くなかった。ここも積極果敢な走りでラインをけん引する。芦澤は追い込みとして、着実にランクを上げている。番手の仕事ぶりは光るだけに、機動型2人には心強い。神山は1月大宮で4年ぶり4度目の記念制覇。差し脚は冴え渡っている。
近藤隆司、松谷秀幸の南関勢も侮れない。近藤は成績の波が激しいが、得意のカマシ、まくりの破壊力は凄まじい。今年に入って落車や失格で流れが悪い松谷はそろそろ断ち切りたい。
井上昌己は全日本選抜で2連対。人の後ろを回るケースが多いが、自力の脚も落ちていない。目標不在ならまくりを主体に全力を出し切る。
成田和也の動向も見逃せない。昨年後半は度重なる落車に苦しんだが、徐々に復調している。坂本貴史と決勝で同乗できれば、チャンスはありそう。