長かった6年間
「弱っていた時も師匠(小倉竜二)には世話になった。ケガもあったけど、これで吹っ切れました」
昨年は、レースで計6回の落車。今シリーズも、初日特選で落車のアクシデントに見舞われたが、これまで何度も這い上がってきた阿竹は、それをモノともしない走りで優勝をつかみ取った。
「すべて太田と、後ろを固めてくれた北村のお陰です。太田は、しっかり先手を取ってくれた。それが、一番大きいですね」
太田が赤板から一気に仕掛けて主導権を握ると、阿竹は徐々に車間を空けて太田を援護。まくってきた松浦を完ぺきに合わせ切ると、直線で鋭く抜け出して、力強く右の拳を突き上げた。
「豊橋(記念の優勝)から6年もかかったんで、ガッツポーズが出ました。(優勝を確信したのは)ゴール線ですね。柏野さんも見えていたんで、合わせて踏みました。4コーナーを回って、最後は必死でした」
寬仁親王牌で鎖骨を骨折し、118日間の欠場を経て2月大垣F1で復帰。続く西武園F1と、連続で準Vの成績を残し今開催を迎えた。
「まさか、復帰3場所目で記念を獲れるとは思わなかったです。感覚が走るごとによくなって、脚よりもレース勘やなと思っていました。うれしいです」
今回が通算2度目の記念制覇。「次はG1の決勝に乗りたい」。若手、ベテラン共に勢いがある徳島勢の一員として、次の目標に向かって突き進んで行く。
松浦が不発と見るや、冷静にコースを探した柏野が2着。連日、気持ちの入ったレースで地元記念を盛り上げた。
「中四国のみんなで力勝負して、レースとしては面白かったと思います。(松浦は)しっかり仕掛けてくれて、気持ちも伝わりました。最後は伸びる感じがありました。北村君が外に行けば中だし、中なら自分は外だと思っていた。早く決めてほしいなって思ってました」
北村は、初めての記念決勝で確定板入りを果たした。
「太田君のお陰です。阿竹さんが番手で車間を切ってる感じだったんで、どうしようかなと。外を踏んだら、やっぱり(柏野が)来ますよね。最後は経験不足でした。でも、3着に入れてうれしいです」