戦力充実の九州勢
タレントのそろった九州勢が優勝争いを優位に進める。主役は中川誠一郎だろう。2月別府の全日本選抜で2度目のG1制覇。6月岸和田高松宮記念杯の決勝は脇本雄太の先行に乗って鋭く追い込み、今年2冠を達成した。春先にリズムを崩したが、完全に復調している。不惑を迎えたばかりの中川がラインの主軸を担って、他地区の強力なライバルを迎え撃つ。ラインをけん引するのは山崎賢人だ。3月大垣ウィナーズカップでは3度目のビッグ優出。成績の波は激しいものの、はまった時のパワーはケタ違いだ。自慢の豪脚で4日間を駆け抜ける。地元の坂本亮馬はウエイト練習中に痛めたひざのケガのダメージをまだ引きずっているが、積み重ねてきた経験値と競走テクニックで高い位置に踏みとどまっている。ようやく練習ができるようになってきたことで、状態面の上積みが見込める。5年ぶり2度目の地元記念制覇へ全身全霊を傾ける。田中誠は5月岸和田で6年ぶりの優勝を飾るなど上昇ムードだ。
平原康多が九州勢の前に大きく立ちはだかる。今年は2月全日本選抜、3月ウィナーズカップ、5月日本選手権とビッグレースで3場所連続、準決勝4着で敗退という悔しい思いをしたが、6月高松宮記念杯は初日落車のアクシデントを乗り越えて決勝に進出した。最強のオールラウンダーとしての地位は揺るがない。ナショナルチームの躍進に対抗するべく、試行錯誤を重ねている。中9日の調整期間でまずは落車のケアをしっかりして、前半戦ラストのシリーズに備える。木暮安由は安定した戦いぶりが光っている。高松宮記念杯の準決勝では平原のまくりを差してワンツー。ここも連係実績豊富な平原の番手ならチャンスだろう。神山拓弥も決め脚は相変わらずシャープだ。
追加参戦の松浦悠士も有力なV候補に挙げられる。6月取手では2度目の記念制覇。今年のビッグレース4回のうち、3回優出するなど、タイトルに手が届く位置まできている。今シリーズも変幻自在な立ち回りでV獲りを狙う。堅実な柏野智典、中四国で池田憲征がラインを組む。
三谷竜生は2月全日本選抜の落車で左の肩鎖関節を脱臼。3月ウィナーズカップで復帰して、徐々に本来のパワーを取り戻している。高松宮記念杯は準決勝で敗退したが、初日の西日本特選は脇本雄太のまくりを差して1着を取っている。本領発揮ならあっさり勝ってもおかしくない。野原雅也も4月伊東G3の落車で肩鎖関節を脱臼。それから長期欠場を余儀なくされたが、このシリーズで復帰を予定している。椎木尾拓弥、東口善朋が三谷のアシスト役だ。両者とも目標をつかんだ時はしっかりしている。
追加参戦の渡邉一成は気配がいい。今年に入って苦戦が続いていたが、高松宮記念杯では久々のG1優出。ダッシュ、スピードともに抜群で、仕上がっていた。この状態で迎えることができれば期待できそうだ。しっかり結果を出して、後半戦につなげる。成田和也は良くなっては落車の繰り返しだが、強い精神力で持ちこたえている。ここは渡邉を巧みにアシストして直線勝負にかける。
南関勢は郡司浩平が高松宮記念杯の落車で右鎖骨を骨折の大ケガを負って欠場したが、山賀雅仁は好調時の切れが戻ってきている。