宮杯チャンプ脇本雄が凱旋
ドイツ・ベルリンで開催された世界選手権のケイリンで銀メダルに輝いた脇本雄太は、世界の舞台で大活躍しているトップレーサー。スピードがハイレベルなのは言うまでもないが、踏める距離も長いので、本業の競輪でも圧倒的な存在感を示している。自転車競技中心のスケジュールのため競輪参戦の本数は少ないにもかかわらず、一昨年はオールスター、寬仁親王牌、昨年はウィナーズカップ、ダービーで優勝した。今年は高松宮記念杯が初戦だったが、異次元の走りで完全Vを達成している。怒涛の仕掛けで他の自力型をねじ伏せて主導権を握ると、11秒台前半の上がりタイムで駆け抜けてしまうのだから他の選手が勝てないのも無理はない。当所記念では64、65、67、68周年と直近5大会で圧巻の4Vを飾っている。7車立はスピードレースになる可能性が高いのも脇本には追い風だ。サマーナイトは動きが重かったが、修正可能な範囲内。通算5V目を4連勝で達成する公算が大きい。地元勢はこれ以上望めぬほど充実のラインナップ。個の力で断然リードの脇本に加え、自力型は野原雅也、寺崎浩平、追い込み型は渡辺十夢、鷲田佳史とそろっている。野原は4月武雄記念、5月宇都宮記念の準決でそれぞれ勝ち星ゲットと快速を披露しているし、スーパールーキーの寺崎は初のビッグとなったサマーナイトでも大物ぶりを示した。
近畿は他にも村上義弘、稲川翔の実力者に東口善朋、稲毛健太の和歌山コンビ、ここのところ自力攻撃が冴えている中井俊亮ら多士済々。村上は高松宮記念杯の最終日に稲毛健の逃げを差し切ると、サマーナイトの初日は寺崎の逃げを利して勝っている。チャンスが巡ってくればものにできる状態だが、脇本が相手ではさすがに分の悪さは否定できないか。稲川は高松宮記念杯、サマーナイトとビッグを連続優参。ここでも脇本との連係が叶うようなら連下候補になろう。
中部勢は上位陣に自力型が少なく劣勢は免れないが、上位に食い込んでくるとしたら柴崎淳、坂口晃輔の三重コンビか。柴崎は低空飛行が続いたときもあったが、6月四日市では上がり11秒1の快速まくりを決めて優勝。高松宮記念杯の3日目は敗者戦ながらまくって今年のビッグレース初勝利を挙げると、最終日は逃げ切って2勝目をゲットしている。好スパートを決めれば連浮上もありそうだ。坂口はやや勝ち味に遅いが堅実にまとめている。柴崎次第では突っ込んでくるか。