実力横一線のV争い
8月12日が初日のオールスター競輪に参戦する選手は不在なので、ビッグレースで常に存在感を示している実力者は見当たらない。実力互角のメンバー構成で優勝候補は5指に余る大混戦。狙いは絞りにくいが、実績なら松谷秀幸が最上位だ。2月奈良記念着では平原康の逃げを差して優勝をものにしているし、サマーナイトの予選は鈴木裕の逃げを利すと、浅井康のまくりをきっちり止めて勝っている。千葉勢との連係はメンバー次第だろうが、自分で戦っても優勝が狙える状態にある。野口裕史、山中秀将の千葉コンビも互角の戦い。未だにS級では優勝経験がないのが不思議な野口だが、重戦車を彷彿させる先行は迫力満点。最近の調子も良好で、ここ5場所の準決はオール連対、初日特選で2勝を挙げている。主導権さえ握れれば好勝負に持ち込める。山中は1月大宮記念で落車負傷し、5月豊橋全プロ記念から復帰した。4カ月半実戦を離れたものの、一戦ごとに調子を戻していて、復帰5戦目の7月松戸では力強くまくって今年初Vをゲット。野口の先行に乗る展開なら有利に抜け出す場面は大いにあろう。
躍動感が甦った鈴木庸之も有力な優勝候補だ。腰のヘルニアで長期欠場を強いられたが、昨年12月に復帰を果たした。数場所は欠場前の脚勢ではなかったものの、ここに来て一気に調子を上げてきている。6月青森G3で4着と好走すると、その後も同月川崎着、7月弥彦記念1着と連対ラッシュだ。川崎の初日特選、準決はいずれも逃げて粘っていて、スピード、持久力ともに全盛時のレベルに戻ってきた。好スパートを決めてのVゲットの場面は十分。
注目株は覚醒した眞杉匠。6月青森G3で4日間逃げて2着と先行力を猛アピールすると、その後も6月川崎1着、7月は宇都宮1着、静岡2着、松戸1着と素晴らしい成績を残している。連がらみの86%が逃げてのもので、先行力は一級品。好機に仕掛けて主導権を奪えれば勝ち負けに持ち込んでも不思議ではない。山岸佳太、芦澤大輔の茨城勢は眞杉と連係しよう。山岸は自力基本も攻め口多彩なので、眞杉との連係が叶うようなら前を任せるはず。山岸は今年2V、サマーナイトは最終日に2着など随所で勝負強さを披露しているし、芦澤は6月西武園、7月川崎はともに準Vと差し脚好調。
西日本では石塚輪太郎、椎木尾拓哉の和歌山勢、久米康平、山中貴雄の四国勢が侮れない。石塚は7月和歌山で準Vなど、一時期より動きが良くなってきたし、久米は7月小松島記念1着の走りは力強かった。
地元地区の北日本勢は総合力でやや劣勢だが、差し脚鋭い阿部力也、スピードには非凡なものがある小原佑太らに上位進出の期待がかかる。