出走なら主役は脇本雄だ
共同通信社杯欠場の原因となった足の痛みは不安材料も、トップスピード、ダッシュ力、持久力と3拍子そろった脇本雄太の機動力が輪界トップであることに異論を唱える人はあるまい。オールスターは準V。G前で古性優に差されたが、打鐘前から逃げて別線を沈黙させたレース内容は力強かった。その後は約半月の間隔があり、体調を整えて臨んだ9月向日町記念では圧巻の4連勝を飾っている。二次予選、準決は2着以下に大差を付け、決勝は上がり11秒0の先行で、完全マークの村上博を寄せ付けなかった。連係ある同県の野原雅也と道場なら前を任せるだろうが、基本は自力攻撃でVをゲットする。
9月は向日町記念、共同通信社杯と続けて決勝を外した松浦悠士。ここに来て一息入った感もあるが、大事な終盤に向けて調子を上げていくはず。今年はダービー、サマーナイトとビッグレースで2V、記念開催は6Vという圧巻の成績で、獲得賞金ランキングは第2位の郡司浩に5千万円以上の大差を付けてトップを突っ走っている。脚力では脇本に譲るだけに、総合力で優勝を目指す。
今年は中盤から落車が続きなかなか波に乗れない平原康多だが、共同通信社杯では着とまとめた。決勝は8番手に置かれてしまい、らしさは発揮できなかったものの、ビッグでの4日間確定板入りは浮上のきっかけになるのでは。連係実績が豊富な諸橋愛が平原とタッグを組む。共同通信社杯では二次予選Aで落車に見舞われたが、3日目から2、3着と大きな影響は感じさせなかった。4月四日市G3では平原のまくりを差して優勝している。関東コンビの動向には注目したい。
九州勢は中川誠一郎、中本匠栄の地元コンビに北津留翼とそろっている。中でも中川は、熊本記念が久留米で開催されるようになってからは抜群の成績で、5回のうち3回を手中に収めている。共同通信社杯は持ち味を発揮できなかったが、オールスターの準決でまくって2着の脚勢は素晴らしく、自力攻撃の破壊力はまだまだ健在だ。さすがに脇本と真っ向勝負では分が悪いものの、北津留が地元勢を引き連れて積極的に飛び出す可能性もありそう。好連係を決めて台風の目と化すか。
SS班の佐藤慎太郎が束ねる北日本勢も侮れない。渡邉一成が先陣を受け持ち、和田圭が福島勢を援護ならラインは強固だ。佐藤は共同通信社杯着、惜しくも決勝外したものの、二次予選Aでは新田祐の逃げを差していて、チャンスが巡ってくればものにできる状態のある。今年の獲得賞金ランキングは第6位。十分にグランプリ出場が狙える位置に付けているものの、まだ優勝には手が届いていない。そろそろという気持ちは強いはずだ。