安定感際立つ清水裕
ダービー直後の開催なので、その結果で多少は評価が変わってくるかもしれないが、SS班で最も充実しているのは清水裕友だ。今年は年頭から快調なペースで飛ばしていて、連対率は7割に迫る勢い。ビッグレースは全日本選抜で準V、ウイナーズカップは決勝3着。G3では2V、準V2回と素晴らしい成績。強大なラインを俊敏な立ち回りで打破したレースもあり、競走内容も高く評価できる。一番信頼が置けるとみて中心視した。盟友の松浦悠士は、昨年のグランプリチャンプ。この大会は70、71周年を連覇した実績もある。だが、ウィナーズカップでは準決で落車し、4月は川崎記念、高知記念を欠場した。出走の際には初日の動きに注目したい。
輪界の第一人者である脇本雄太は、持病の腰痛、落車負傷もあって、今年はなかなか波に乗り切れていない。ウィナーズカップでは優勝を手にしたものの、続く4月西武園記念は腰痛のため途中欠場。そしてダービーも欠場を余儀なくされた。トップスピード、航続距離、加速力と三拍子そろった脚力が輪界トップであるのは言うまでもない。体調に問題がなければ、昨年に続いての大会連覇は大いにある。レース巧者の稲川翔が脇本とタッグを組む。西武園記念での動きはまずまずで、近畿ワンツーは十分だ。
もう一人のSS班・深谷知広は、自慢のパワーを遺憾なく発揮している。今年はまだ優勝には手が届いていないものの、ウィナーズカップで決勝に乗ると、西武園記念は❷着。西武園の決勝は、眞杉匠に交わされたとは言え、5車連係の地元勢から再三に渡るブロックを受けながらも、まくりでねじ伏せた豪脚は圧巻だった。好スパートを決めてのVゲットは考えておきたい。
ラインの総合力でリードしているのは、地元地区の九州勢だ。攻め口多彩な英明、庸平の山田兄弟をはじめ、嘉永泰斗、北津留翼、伊藤颯馬ら自力型がズラリとそろっている。兄の英明は68周年大会を制していて、弟の庸平は、3月に大阪・関西万博協賛競輪(G3)で優勝したばかり。両者ともに地元バンクでは実績を残している。嘉永は川崎記念の決勝で地元の郡司浩に、古性優、新山響、佐藤慎らのSS班をまとめて倒す金星をあげているし、伊藤はウィナーズカップではビッグレース初優参。決勝でも見せ場を作る快走を演じている。動ける選手ばかりとなれば幅広い組み立てが可能にもなるので、九州勢の動向からは目が離せない。
ダークホースは浅井康太だろう。全日本選抜で優参を果たすと、その後は2月高松記念、3月四日市、同月高知と3連覇を飾っている。少し古くなるが、この大会は65、66周年を連覇していて相性がいい。中部勢はラインの総合力では劣勢だが、単騎戦は苦にしないだけに軽視は禁物。