検車場レポート
三谷 竜生 奈良 101期 |
赤板を通過しても隊列は崩れず、6番手でワンポイントにかけた脇本雄太が1センターから一気。4車のラインを意識しながら出切ると、そのまま別線をちぎって逃げる。前受けの浅井康太は5番手に飛び付くも、近畿ラインとの車間は大きく空いて成す術がない。脇本がつくり出したハイペースに、V争いは近畿ラインの4車に絞られた。番手の三谷竜生が落ち着いて直線半ばで脇本を交わして、初戴冠だった昨年に次ぐ2度目のGI優勝。ダービー連覇を成し遂げた。
「(優勝は)素直にうれしい。去年は(近畿勢が)ひとりだった。今年は4人いてみんなのおかげで獲らせてもらいました。(昨年)ダービーを獲ってから怪我で低迷していたけど、今回に向けて仕上げてこられました。脇本君のすごい先行を差すことができてよかった。去年のグランプリは悔しかったんで、次のグランプリは優勝を目指して頑張ります」
3番手から外を追い込んだ村上義弘は、逃げた脇本との2着争いに持ち込むのが精いっぱい。わずかに脇本をとらえて2着に上がった。
「脇本が強かった。オーバーペースかと思ったけど、最後はもう1回加速していった。(別線が大きく離れていたが)後ろがどうなっているかはわからなかった。来たらどうにかしなければと。今年の(三谷)竜生の活躍通り、近畿でSSは(三谷)ひとり。(近畿勢を)引っ張って来てくれたんで、日本選手権の優勝者にふさわしい」
別線に反撃の隙をまったく与えず近畿4車で上位を独占。脇本雄太が、GIファイナルで衝撃の逃走劇を披露した。
「誰か切りに行っても追いかけるつもりはなかった。自分のタイミングでと思っていた。自分のなかで一番最悪なのは、(別線に)飛び付かれてラインが崩れること。(ラインを)最大限に生かすには、(仕掛けが)あのタイミングだった。ラインを生かそうという気持ちが強かった。反省を言うと、もうちょっと(仕掛けが)遅くても良かった。でも、自分らしくていいかな。(自力で)タイトルを獲りたい。もう少しで届きそうな気がする。あとはもうちょっと貪欲な気持ちに」
「勝負どころで仕掛けられなかったのが敗因」とは、GI3連覇ならずの新田祐大。脇本の仕掛けに一瞬、合わせて踏み込みかけたが、思いとどまり7番手で圏外に置かれた。
「脇本の仕掛けが見えてたんで、そこですね。浅井(康太)さんが飛び付く感じで踏んだと思った。自分で踏んでいればよかった。そこから浅井さんが車間を切っているのかと思った。どこから詰めるのかなと思ったら、浅井さんが苦しそうだった。慌てて(仕掛けて)行ったけど…」