神山雄一郎が引退を表明 ~JKA~
輪界の至宝が現役にピリオド
12月24日、都内のJKAで会見を行った神山雄一郎(栃木・61期)が、12月23日の取手競輪場での最終日の1着を最後に、現役生活に終止符を打つことを発表した。
「私、神山雄一郎は昨日まで走っていた取手競輪を最後に、競輪選手を引退させていただく決意をしました。本当に長い間、ありがとうございました」
16個のG1タイトルをもつ神山は、史上3人目となるグランドスラムを達成し、現役最多となる909勝目をラストランの取手で挙げた。生涯獲得賞金は歴代1位、最優秀選手賞獲得6回と数々の金字塔を打ち立ててきた。初タイトルとなったオールスターは通算5度の制覇とファンに愛された輪界の至宝は、36年間の競輪人生に別れを告げた。
「6月の函館競輪での失格が(引退の)引き金の第一段階ではあった。競輪は好きなので、できることなら一生やりたいと思っていた。その時までは一切、そういうこと(引退)を考えずにいた」
6月の函館の失格の影響もあり、来期はA級1班に陥落が決まっていた。89年からS級に在籍を続けた神山にとっては、そこが引き際でもあった。
「(失格して)やっちまったよって。(周囲からは)神山さん、A級じゃんって言われて、どうすっぺって。その感覚で降格までの半年を一戦、一戦頑張ってきた。自分の心境としてはこんな日がきちゃったなって。突然、辞めたっていうのもあるんで、(このあとは)なにも決めてない。まずは家族との時間を過ごしてゆっくりしたい。自分の積んできたキャリアを後輩のためにっていうのもあります」
引退後のこれからについては未定も、後進の育成には前向きな姿勢を見せた。88年5月に花月園でデビューしてから、一心不乱に競輪に向き合ってきただけに感謝を決して忘れることはない。
「自転車も好きだけど、競輪が好き。競輪をつくってくれた倉茂貞助さんに感謝しています。こんなすばらしいものはない。自分の人生そのものです。負けたとしても、やり切ったレースもあるし、勝っても釈然としないレースもある。負けのなかに勝ち(価値)がある。今日の負けのなかに、なにを感じ取ったか。そこが大事かなって思います。負けのなかに勝ち(価値)がある。そういう競輪の魅力に僕はとりつかれた」
そんな神山をしても、16回の挑戦でグランプリの頂点には届かなかった。4年連続での準Vと跳ね返されてきた。
「グランプリを勝ちたかった気持ちはすごく強い。けど、そこを目指していたから、ずっと頑張って来られたのは良かった。(グランプリが獲れなくて)いい正月を迎えたことがなかった。引退したことだし、今年は気にせずに気持ち良くレースを見たい」
もうあの舞台に立つことはないレジェンドが残した夢。そこから新たなストーリーがまた始まっていく。