【コラム】復調の兆しを見せる近藤隆司 ~広島競輪場~

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近藤隆司
1次予選をまくって快勝しガッツポーズ
再び大舞台を目指して一歩、一歩前へ

 3月4日(木)に初日を迎えた『瀬戸の王子杯争奪戦』in広島に参戦中の近藤隆司(90期・千葉)が復調の兆しを見せている。2016年に行われた全日本選抜競輪、同年に行われた競輪祭決勝の舞台へと勝ち進んでいる実力者が再び輝きを取り戻そうとしている。
 
 きっかけは2020年3月に行われた高松F1の2日目。400勝の節目まであと1勝と迫る同県の海老根恵太(86期・千葉)を背負った準決勝9レースで、朝倉智仁(115期・茨城)にまくられて大敗したことが己を見つめ直す機転となった。
 
 「400勝がかかっている海老根さんに任されていたので頑張ったんですけど、朝倉君に簡単にいかれてしまった。本当に悔しかったですけど、そこでこのままじゃダメだって思った。その次の場所からシューズを換えました。全日本選抜と競輪祭で決勝に乗った時の柔らかいシューズに。それまでも硬いシューズを試したり柔らかいシューズに換えたりしていたんですけど、柔らかいシューズを履くたびにこれはダメだって思っていたんですけど、よくよく考えた時にシューズじゃなくて自分が原因じゃないかって。良い頃は柔らかいシューズで巧くペダリングできていたのに、今はそれができていないんじゃないかって」

 シューズを換えてから今月で11か月。決して順調ではなかった道のりを歩んだ近藤を支えたのは超一流のアドバイスと、己を貫く同期の姿であった。

 「平原さんに『例えるのが巧いな』ってほめられたことがあるんですけど〝競輪〟ってルービックキューブだって思うんですよね。競輪には色々な面があって、体や自転車、シューズ、組み立てだったり、精神的な面だったり。一つの面だけ揃っていてもダメ。何かを変えるとほかの面にも影響がでるところもそうかなって。自分はまだ3×3くらいのルービックキューブですけど、超一流は7×7だったり8×8のルービックキューブをクリアしてその先に進んでいる。でも焦ったらだめだと思うので。いまいじるのはシューズだけって決めて。平原さんに『柔らかいシューズを試してます』って言ったらとことん突き詰めた方がいいって言われました。実は自分が乗っているフレームはずっと一緒なんですよね。4回転が全盛期の山崎(芳仁)さんのほぼ完コピ。その当時からフレームは変えていません。色々と変えるとどこをどう変えたか、もう元には戻せなくなると思うんですよね。だから柔らかいシューズで前みたいにきれいにペダリングできるようにって思っています。同期の浅井(康太)もペダリングがしなやかじゃないですか。40歳を超えた差し脚が切れる追い込み屋で硬いシューズを使っている人も少ない。若い先行屋も結構、柔らかいシューズを使っているんですよね。人にもよりますけど、力や体重でゴリゴリ踏んでいてもこの先は厳しいなって。浅井は年齢を重ねてもたぶんずっと強い。自分もそうなれるようにそこを突き詰めていければ」

 ゆっくりでも確実に、信念を持って再びG1決勝の舞台を目指す近藤隆司が輝きを取り戻すまでの道のりを見守っていきたい。
 
 

細川和輝記者

2021年3月5日 10時42分

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