• 久留米 第31回全日本選抜競輪GⅠ2/11〜2/14

読売新聞社杯全日本選抜競輪

関東勢が総力を結集

平原康多

平原康多

浅井康太

浅井康太

新田祐大

新田祐大

  • 2016年G1シリーズがいよいよ開幕。今年の全日本選抜は久留米競輪場を舞台に、トップスターがしのぎを削る。今年は初戦から激戦必至。平原康多、武田豊樹、神山雄一郎のSS3名を擁する関東勢がややリードも、GP覇者の浅井康太に、深谷知広の中部も強力。さらに世界規格のスピードを誇る新田祐大や、京都コンビも真っ向勝負だ。

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インタビュー

  • 野田
  • 源一
  • 久留米のファンに恩返し

  •  05年に秋田から久留米にホームを移して10年を超える歳月が流れた。野田が地元で念願のG1を迎える。
     「久留米での全日本選抜が決まって意識もしてたし、なんとしても出たかった。やっぱり気持ちとしては結果を出したい」
     異彩を放つ単騎戦での一撃。レースの流れを読んだ頭脳的な組み立てから繰り出されるまくりは、玄人好みだ。しかしながら、16年初場所の小倉を終えて、勝ち星は昨年の10月から遠ざかっている。
     「ずいぶん1着がないし、焦りもある。最近だと会心のレースっていうか、スピード良くまくったのが思い当たらない。良くなるようにと思っていろいろ試行錯誤をしたんですけど…。そこを戻せば前と同じようにはなると思う」
     鈍ってはいるまくりのキレだが、心当たりがあるだけに野田自身も悲観することはない。
     「車券に貢献できるように確定板を目指していけば、(勝ち上がって)決勝にも乗れる。大きなことは言えないけど、久留米のファンの方たちに恩返しがしたい」

  • 菊地
  • 圭尚
  • 初戦から攻めの気持ちで

  •  昨年は前半から腰痛に悩まされた。
     「ギックリ腰が続いたので、治ってもかばうところがあった。レースでもなかなか気持ちが入らなかった」
     もどかしい時期が続いたが、不安を完全に払拭できたのは競輪祭あたりから。練習にも集中できるようになり、ようやく菊地に笑顔が戻った。
     「僕は気持ちで走ってる部分が大きいので。それまでは腰痛でだましだましやってたところがあったけど、今は感じもよくなってる。練習も1日、1日大事にしていこうという気持ちになってます」
     昨年大会では準優勝。G1で初めての表彰台にあがったが、同時に勝った山崎芳との差を感じた。「決勝ではコースも迷ったし、終わってから山田(裕仁)さんにアドバイスをもらいました。あとは自分の気持ちひとつ。今年は強気に攻めたいし、ガツガツやっていきたい」。G1制覇、グランプリ出場を目標に菊地のタイトル戦線がいよいよスタートする。

  • 村上
  • 博幸
  • 巻き返しの1年が始まる

  •  昨年は1月和歌山記念での落車に始まり、その後も落車禍に苦しんだ。寬仁親王牌では鎖骨骨折を負うことにもなった。
     「1年を通して怪我で思うようにはいかなかったです。でも、怪我は付き物だし、そこをどうやって立て直していくかだと思います。骨折も今となっては休んで色々なこと思い直せたかなと。プラスに考えれば勉強になりました」
     この心の強さが村上を支えている。前だけを見据えた結果、競輪祭では優参するところまで体も回復した。
     「後半戦は思い通りです。今年につなげるレースができました」
     全日本選抜は一昨年に優勝している大会であり思い入れもある。ここ全日本選抜から村上の巻き返しが始まる。
     「全日本は優勝しているし、初めてG1の決勝にも乗った思い入れのある大会です。大宮記念では初日に浅井君、2日目に平原君の後ろと責任感ある位置で勉強になった。しっかり練習できているし、全力を出し切れる状態で全日本に臨みたいです」

  • 吉本
  • 卓仁
  • 分岐点となる重要な開催

  •  決勝に乗った佐世保記念で昨年は走り納め。新年初戦の久留米F1は627着と不本意な結果に終わってしまったが、「人任せだったし、自力も出してないので」。吉本にとっては参考外のシリーズだったようだ。「佐世保からの1カ月できっちり計画どおり練習できたし、久留米は出す機会がなかっただけ。佐世保が終わって新車も来たし、セッティングも出てる」。練習の成果、そして強気なコメントに偽りはなかった。「楽しみ」と話していた平記念では決勝に進出。大会本番へ向けて確かな手応えをつかんだ。
     「新車は久留米では出せなかったけど、どこからでも逃げていい感じ。前よりも長い距離をいけますね」
     地元、久留米から参加するのは吉本と野田源一の二人だけ。「今回は自分にとって分岐点だと思ってる。勝ちたいし、決勝にいきたいけど、それ以上に得るものが大きいと思う」。勝ち負けよりも大きな意味を持つ4日間になる。

  • 諸橋
  • 特選スタートでG1獲りへ

  •  「自転車しか考えてない一年でした。競輪のためにあれをしなければ、これをしなければって」と、昨年を振り返った。
     4月の川崎で04年の青森以来となる記念制覇を遂げると、8月の豊橋記念でも優勝。夏場には4場所連続の落車に見舞われながらも、鋭敏な動きと狭いコースを突っ込む勇気を失うことはなかった。
     「去年の目標は特別競輪のシード権を取ること。(G1を)優勝するんであれば、シード権を取らないとっていうのを強く感じた。費やしている時間も長かったし挫折しかけたけど、今年のためにやってきた」
     晴れて全日本選抜の初日は特選スタート。G1奪取への土台づくりに抜かりはない。
     「勝負をしていれば落車もあるし、仕方ないところもある。でも、もうちょっと技術を磨いて勉強をしていかないと」
     3週間ぶりのレースだった平記念が7136着。1勝どまりも勝負どころではさすがの動きを見せていた。
     「(G1Vへ)湧き出すものがあるし、結果を出さないと振り落とされる世界だからやるしかない」

  • 岩津
  • 裕介
  • 万全の状態でG1へ

  •  昨年は中四国地区でただひとりのSS班として、重圧にも向き合いながら一戦、一戦を大事に積み重ねてきた。
     「地区的にレースの流れも含めてかみ合うことが少ないんですけど、その逆の場合もあるんで。今は踏んでいてそんなに感触が悪くない。それでも着にバラつきもあって、点数も落ちてる。自分の中ではもっとまとまってもいいかなっていうのがある」
     近畿、関東、北日本…。数的に有利な流れを作る他地区と比べて、戦力が豊富とは言い難い。
     「小倉(竜二)さんはマークを極めてるし、お手本になっている。その小倉さんだって毎年グランプリに乗ることができるわけではない。僕は小倉さんより素質もない。だから、小倉さんの真似だけしていては無理だと思っている。自分で切り開いていかないと。あとはせめてコンディションは、他の人より有利な状態にして臨まないと。勝負になったら厳しいんで」
     状態面の不安をぬぐい去り、岩津は静かに差し脚を磨ぎその時をうかがっている。

  • 小川
  • 勇介
  • 悔いのないレースをする

  •  兄弟子である園田匠が昨年の寬仁親王牌を制した。その背中を追う小川もタイトルへの思いがさらに強くなった。
     「園田さんがG1を獲って九州で盛り上がっていけたんで、それに乗っていきたい。今年はまずは記念の決勝に乗って、G1の決勝にも乗りたいです」
     昨年前半は好調だったが、その後は怪我に苦しめられた。だが1年を通して得るものも多い年になった。
     「前半はダービーで手応えを感じた。そのあとは怪我があって思うようにいかなくて。でも地元の競輪祭で準決勝に乗れて感じは良いです。人の後ろを回ることも増えて勉強になった1年でした」
     大宮記念では二予敗退も、最終日を白星締め。本番までに時間は残されており悲願のG1制覇へ態勢を立て直す。
     「次地元(小倉F1)で、その次も地元の全日本なんで修正していきます。小倉でやる競輪祭ほどは気負わず走れると思いますね。でも地元は地元なんで思い切って。負けても勝っても悔いのないレースをしたいです」

  • 海老根
  • 恵太
  • 南関の結束力でVつかむ

  •  若手の台頭が顕著な南関勢。その中でラインの中心的な役割を担っているのが海老根だ。昨年10月の千葉記念は地元4車結束で久しぶりのG3制覇を成し遂げた。ただ、12月の名古屋の初日は胃腸炎で当日欠場。その影響で続く広島記念は精彩を欠いた。
     「昨年は怪我もあったりして、状態がなかなか上がらなかったですね。広島記念の前に胃腸炎になって、体重もかなり落ちたし、基礎体力も落ちてしまった。広島記念は大丈夫かと思ったけど、やっぱり体が思うように動かなかった」
     今年初戦の立川記念は9127着とまずまずの滑り出し。10年競輪祭以来となる久々のG1制覇へ視界は良好だ。
     「ずっと力が入らない状態が続いていたけど、立川は久しぶりにしっかりもがき切れた感じがします。全日本選抜は特選に乗れたし、何とか決勝に乗ってタイトル争いをしたいと思っています。今年は立川から始まって、もう1度(グランプリで)ここに戻って来られるように頑張ります」

  • 小倉
  • 竜二
  • 方向性が固まり上向き

  •  「去年は苦戦しましたね」。小倉は2015年をこう振り返る。ギア規制への対応に苦しみ、G1でも苦戦が続いた。「軽いギアに合わせたのを使ったり、大ギアので行ったり」とフレームでも試行錯誤したが、10月ぐらいから使い始めた新車でひとつの答えが出た。
     「結局、10月平塚の落車で潰してしまったけど、あのフレームから方向性が見えてきた。競輪祭前ぐらいからアタリも出てきて、上向いてきた感じ」
     その競輪祭では2勝。初日は最近苦手にしていた原田研の逃げをとらえると、3日目は九州3番手から鋭い伸びを見せた。
     「競輪祭で2勝できたし、去年の後半からは戦えるかなという感覚が出てきた。フレームもそうだし、練習方法もある程度固まった。やるべきことは分かってきた」
     久々に不安要素なく臨めそうなG1戦。「去年とは違う」。今年の小倉は期待できそうだ。

  • 北津留
  • サドル規制を克服したい

  •  競輪祭に続く地元開催が目前に迫ったが、「セッティングを出すのに必死で…」と不安がつのる。今年から施行された「サドル規制」に悩まされる日々。「僕は前乗りフォームで、サドルがかなり前に出ていたので。年末にフレームを換えて色々試しているけど。サドルを規制内にしたことで、ハンドルを12ミリ後ろにしたり、ギア、クランクも変えたり。ミリ単位で全く感じが違うので。自転車は体全体がエンジンみたいなものなので、セッティングは重要なんです。良い走りができての(次の)戦略なので」。
     しかし、そんな中でも立川記念の二次予選では絶体絶命の7番手から猛スピードで3着。個人上がりは10秒9。要所で天性のスピードを見せている。
     「少しずつだけど良くなっているけど、G1だし以前よりも良く走る自転車に仕上げないといけない。ただ、体調はずっと良いので大丈夫です。今年もG1に出たいし、今度は結果を残したい」

  • 中川
  • 誠一郎
  • 九州背負うスピードスター

  •  昨年も競技と本業で多忙な一年を走り抜いた。しかし、本業の競輪では、そのほとんどがビッグの準決勝で涙を飲む悔しい結果に。それでも中川は気持ちを折らさず前を向く。
     「昨年はもうちょっとって言うところでしたね。記念にしろ、G1にしろ準決勝で飛んでしまいました。毎回決勝に乗れるくらい、もう一つ良いところで安定できるようにしたいです」
     16年最初のビッグは地元地区での開催。一層気合いを入れて大舞台へ臨む。
     「競輪祭以外で九州のG1は久しぶりですね。せっかく地元地区のG1ですし、頑張りたいです。ダービーの特選が厳しそうなんですけど、全日本は特選から走れます。前半戦はそこが勝負ですね」
     今年もタイトなスケジュールを縫っての最終調整。しかし、歯車さえかみ合えば、初の栄冠に手が届くはずだ。
     「立川記念が終わったら、ワールドカップとアジア選手権があるので、調整しながら臨みます。今の力で精一杯、全力で頑張るだけ」

  • 柴崎
  • あと一つを越える為に

  • 「G1の決勝に乗りたい」と意気込みを語る柴崎。昨年は記念を4度の優出とG戦線でもしっかり結果を出した。しかし、幾度となく挑んだビッグでは準決勝が大きな壁に。あと一つを超える為に日頃から先を見据えた取り組みをしている。
     「レースによって、勝負するとか、力でいくとか。F1でも決勝になれば、二段駆けとかもあるし、展開に応じて仕掛けられるようにしています」
     和歌山記念は8182着。求めるデキとは言えずも、収穫を得て4日間を走り抜いた。
     「仕上がり段階は全然ですね。もっとスピードがキレてもいい。でも、勝ち上がれなかった最終日の負け戦が大事だと思っています。後は、位置取りをしっかりして、気持ちを落ち着かせれれば」
     ビックに向け、仕上げも最終段階に移行する。
     「全日本まで期間が空く人同士で沖縄で練習しようかと話しています。体が動けるところでやった方が気持ちも違いますしね」
     蓄えた力を今こそ発揮し、大舞台で輝きを放つ。

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