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ラインを生かして
昨年は11月防府で記念を初制覇。一つステージを上げた。そして、次なるステップアップに向けて、原点回帰のエッセンスを組み立てに加えている。「バックを取って勝負しようと思ってます。周りのため、自分のためにも。G1も勝ち上がりの段階でやらないと、その先に優勝がないですし。ダービーもそういう走りをしたい」。
随所で積極的な仕掛けを見せると、成績も向上。全日本は着に終わったが、続く静岡記念を優出。3月平をVや、直前の武雄記念も着と大暴れ。年末に負った怪我も完治し、すでに心技体が整っている。「全日本は直前に腸炎になって勝負にならなかったです。でも、静岡で普通に戻って。戦える状態になりました」。満を持して迎える地元のG1。ラインの力を再確認した和田が、南関の仲間と共に高みを目指す。
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平塚競輪場第72回日本選手権競輪5/1〜5/6
日本選手権競輪
ダービー王の称号を賭けて激突
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今年のG1第2弾、「第72回日本選手権競輪」が平塚競輪場で開催される。輪界でもっとも権威のあるタイトルを賭けて、精鋭162名が6日間のシリーズで覇を争う。猛者たちによる白熱のスピードバトルに注目だ。なお、3日目の第12レースでは、ガールズケイリンコレクションも開催される。
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インタビュー
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ダービー連覇へ視界が開ける
昨年7月福井記念の落車でろっ骨を骨折。歯車が狂いだした三谷だったが揺らぐことはなかった。乱高下する成績のなかで、スケールの大きい走りを貫いた。
「レースが小さくなると、結果も出なくなってくると思う。(S班になっても)変な重圧とかなく、緊張感をもって走れている」
S班として迎えた今年。ひたむきに続けてきたケレン味のない仕掛けがかみ合ってきた。2月高松で記念初優勝を飾ると、全日本選抜を挟み、奈良、玉野と記念を3連続V。
「やっていることに変わりはない。それで結果が出ているんで調子が上がっている」
100期代として初のタイトルホルダーに輝いた昨年のダービーから早一年。きっちり態勢を整えてきた三谷が、ダービー連覇で世代交代をさらに加速させる。
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追求した成果
「自力で戦っても、しっかり結果を残したいと思っている」
昨年は新田の番手から2つのG1奪取に成功。しかし、今年初参戦となったウィナーズカップでは、自力で挑んだ2次予選でまさかの敗退。実戦不足が浮き彫りになった。「新田の後ろだったから獲れたと思われるのは嫌なんです。去年の親王牌の準決も自力で上がったし。だからこそ、結果を残したかった」。それでも、3日目は11秒2の快速まくりで竹内智とワンツー。「脚は問題ない。SSで選抜を走ってるので、ラインを連れていきたいと思ってた」。脚力に不安がないことを見せ付けた。
今後も競技が多忙を極め「競輪祭もダメ」とG1ですら出場機会は少ない。鍵はレース勘。新田との呼吸は問題ない。あとは自力での成果が加われば、再び栄光に手が届く。
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良化の兆しはある
昨年は後半戦で失速。今年も1月名古
屋、3月岸和田と落車が続いたが、「練
習とかでも気にせず、違和感なくできて
る」と影響はない。むしろ「よくなりそ
うな感覚はある」と胸を張るほどだ。3月小松島G3からは新車を投入し、本番へ向けて着々と準備は進んでいる。
「去年の競輪祭が終わってから、ここを照準にやってきた。まだ時間もあるし、感覚的にはまだまだよくなる兆しもありますね。悔いなく臨みたいんで、しっかりと準備だけはしたい。勝てる姿をイメージしてダービーに行きたいですね」
昨年後半の苦しみを経験値に変えるには結果を残すしかない。郡司が地元ダービーを大いなる飛躍の舞台にできるのか、その走りに注目だ。
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あとは上げていくだけ
グランプリ優勝の代償は大きかった。
「運も使い切ったし、その疲労が年明け
に出た」。1月からは座骨の痛みに悩ま
され、思うような練習ができないままレ
ースに参加する日々が続いた。しかし、2月全日本選抜のあとは状態がみるみる回復。「やっとゼロに戻ったかな」と浅井は安どの笑みを見せる。
「体調が戻ったのが大きい。あとはダービーに向けて、しっかり土台を作っていけるように。失敗は成功のもとだし、そこを見直せばもうワンランク上にいけるかな」
昨年の京王閣ダービーでは決勝3着。逃げる深谷の番手で直線に入ったが優勝はならなかった。「今回はそのリベンジ。精いっぱい優勝目指して頑張ります」。体調さえ戻れば、グランプリチャンプに怖いものはない。
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ここも強さを誇示する
今年も競技メーンの多忙なスケジュー
ルは続く。「慣れてきたというよりは、
こなすしかない。やり続けるしかない」。
そう話す新田だが数少ない実戦でもしっ
かりと結果を残している。今年の初戦となった2月全日本選抜で優勝。「挑戦できる気持ち。もっと集中してトレーニングを積み重ねる時間ができた」。早々とグランプリ出場権を獲得したこともプラス材料だ。
ウィナーズカップから1カ月半ぶりの実戦となるダービーだが、「強くあり続ける」というテーマは変わらない。
「それを継続しながら(北日本地区でG1を)勝てる選手を作る。僕ができることは何なのかを考えながら、ダービーも頑張りたいですね」
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求められる対応力
「やっぱり違いますよね」。地元で迎える初めてのビッグ。川崎記念を終えた松谷が、大一番に気持ちを切り替える。
「脚の感じはずっといい。ギアを試しながらやってきて、川崎はずっと3・93だった。人の後ろに付いているぶんにはいい」
川崎記念では4番手を固めた2日目の優秀以外は、すべて番手回り。ソツのない立ち回りが目を引いたが、むろん、ラインの先頭を厭わない。
「人の後ろを回った時は、間合いとか難しいですけど、それにすべて対応できるようにしたい。(直前の西武園は)まくりが効かないんで、ダービーを見据えて(ラインの先頭で)前々に積極的にいきたい。ここで平塚につなげたいですね」
飛び付き、分断、なんでもありの強気のスタイル。さらに、番手での重責を全うすることで、南関ラインが他地区に与える脅威は計り知れない。
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自分らしくあり続けて
初めてのS班。誰もが、その肩にのしかかるプレッシャーと戦う。桑原も例外ではなかった。それでも、邪念を振り払って前を向くことを決めた。
「S班の先輩に話をしてもらって。自分で勝ち取ったものに胸を張っていこうと。ワンチャンスをつかめば自分みたいになれる。そういう弱者の希望の星になりたい」
真摯に取り組んできた成果が今の地位まで押し上げた。もちろん、これからもスタイルは変わらない。「今まで手を抜いたことはない。今も、その延長でやっている」。
そして、やっと光が見え始めた。4月川崎記念の準決は松本貴の番手から1着。S班になって6場所目での優出に「すごくうれしい」と満面の笑みがこぼれた。この種火を燃え上がらせて大舞台へ。努力に勝る天才なし。桑原が平塚の地で身をもって証明する。
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あきらめないその日まで
昨年は狙いを定めた弥彦で悲願の地元記念V。そこから怒とうの快進撃でビック初制覇を遂げ、S班の座をつかんだ。
「弥彦の前に自分のなかでこれ以上できないっていうくらいの練習をやった。だけど、SSになってからも、そのメニューができている。グランプリの落車であきらめられない気持ちになったんで、まだまだ」
今年に入っても2月の全日本選抜の準決で落車。続く名古屋記念は準決で2着入線の失格、さらに玉野記念準決でも落車に見舞われ3場所連続のアクシデント。紙一重の勝負を演じている諸橋にとって、アクシデントがつきまとう。
「流れが良くなってくるまで耐えるしかない。大怪我さえしなければ次があるんで」
ずっとずっと“コンティニュー”。流れが変わり、タイトル奪取のその日まで。
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再び迎えた充実期
「ここまで安定して続いていることは、今までにないですね」
15年は2度のG1優出。そこでピークを迎えたかに思われた桐山だったが、さらに上を目指した努力が限界を越えさせた。「ギア規制にすぐ対応してG1の決勝に乗って。このままでいいやと思ったら、周りも対応して怪我で崩れました。でも、そこから乗り方のイメージを変えたりしたらフィットしてきましたね」。
今年はG戦の優出こそないが、全日本で2連対などハイレベルな走りをビッグでも披露。着のウィナーズカップ後は「変わらず良いし問題ない」と話すと、4月大宮は自力、番手と立ち回って完全Vを果たした。過去最高の状態で迎える大一番。万全の態勢を整えて強敵を迎え撃つ。「きっちり仕上げますよ。与えられた所で頑張ります」。
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新田時代に待った!
ウィナーズカップを着。「いいレースで終われてうれしかった」と、武田豊樹とのワンツーを振り返ったが、シリーズの4日間は平たんではなかった。
「ウィナーズカップの前に(名古屋記念で)落車してたんで、調子は良くなかった。自転車を換えたのもあって、3日間はマッチングが良くなかった。それを決勝で修正できた。それからはダービーもそうだし、そのあとも続くんでしっかり練習期間が取れた」
ウィナーズカップのあとは川崎記念を欠場。約1カ月、たっぷり充電期間にあてた。
「新田の脚力が抜けている。それに対抗しようとして、去年は競技でやっているものをマネしたら差が開いた。今年から漢字の競輪のトレーニングで戦えるようになった」
“新田祐大の一強”にストップをかける平原が競輪を面白くさせる。
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僅かなチャンスを手中に
昨年は競技の世界に舞い戻った深谷。「みんなが強すぎるし、いいチーム」と、ナショナルの練習で怪物パワーを再び目覚めさせた。しかし、同時に競輪での出場機会は激減。それでも、気持ちを切らさずに、数少ないチャンスに照準を合わせる。「今後は表に出る機会が減るので。良い走りをしたい思いはあります。もちろん、しっかり結果も残したい。(ダービーで)決められたらベストですね」。さらに、成果を求めて肉体改造にも着手。「競技仕様で絞りました。余分なモノがなくなるのはメリットでしかない」。世界を見据えて鍛えた体は、今後の本業にも好影響を与えるだろう。
今年初出走のウィナーズカップは着も、初日にカマして勝ち上がり。「意外と自然に走れた」とレース勘も問題なし。さらに牙を磨いた怪物が、ダービーで暴れる。