今度は仲間と共に
前には競技の金メダリスト、後ろには歴代のダービー王が2人とお膳立ては整った。三谷の名を日本中に轟かせた大会から1年。今度は頼もしい仲間と共に喜びを分かち合った。三谷が大一番を制し、史上7人目となるダービー連覇を成し遂げた。
「素直に嬉しいです。去年のダービー決勝は(近畿勢が)1人だったけど、今年は4人。みんなのおかげで獲らせてもらいました。ラインでしっかり決められたのも良かったです。近畿のラインの強さを改めて確認できましたね」
大挙4人が勝ち上がった近畿勢。唯一のS班として、絶好の番手回りで大一番に臨んだ。先頭を任された脇本は1センターから一気に踏み込むと、別線を引き離して駆けていく。
「いつもより緊張したけど、脇本が良いレースをしてくれたし、自分は付いていっただけ。本当に(G1の)決勝で、あの先行はすごかった」
最終バックを過ぎても4番手以降の車間は縮まらず、別線は成す術なし。V争いは近畿4車に絞られた。三谷に訪れた絶好の展開。最後まで集中を切らさずに、巡ってきたチャンスをつかんで見せた。
「あのカカりで後ろから来られることはないと思ったけど、ゴール線まではしっかり踏みました。脇本のすごい先行を差せて良かったです。近畿で(上位を独占して)結果を出せたことも嬉しい」
昨年のダービーでは100期台としてG1を初制覇。しかし、その後は怪我に苦しんで結果は出なかった。それでも、赤いレーサーパンツに履き替えてからは、記念を3Vなど猛チャージ。焦らずに己を信じた結果が、再び歓喜の瞬間を呼び込んだ。
「昨年のダービーを優勝したことで自信にもなったけど、(7月福井記念の落車で)怪我をしたことも良かったと思う。そこでしっかり考えられました。今年は結果を出せているし、やってきたことが間違っていなかったですね。今後もやることは変わらない。それをしっかり続けていきたいです」
他地区の強豪に対し、ラインの厚みをバックボーンにして戦う近畿勢。今後も、三谷が主翼の一人として盛り立てていく。
「今回は連覇できてよかったです。後半戦のG1でも結果を出したいですね。この後も頑張って近畿勢を盛り上げていきたい」
最多となる5度目のダービー制覇を狙った村上だったが、記録更新はならず。逃げた脇本との2着争いに持ち込むのが精いっぱい。
「脇本が強かった。オーバーペースかと思ったけど、最後はもう1回加速していった。今年の(三谷)竜生の活躍通り、近畿でSSは(三谷)ひとり。(近畿勢を)引っ張って来てくれたんで、日本選手権の優勝者にふさわしい」
脇本はラインを上位独占に導く先行策を披露。ナショナル組としてのポテンシャルを改めて示した。
「(ラインを)最大限に生かすには、(仕掛けが)あのタイミングだった。ラインを生かそうという気持ちが強かった。反省を言うと、もうちょっと(仕掛けが)遅くても良かった。でも、自分らしくていいかな。(自力で)タイトルを獲りたい。もう少しで届きそうな気がする」
新田は豪脚を見せることなく終了。G1の3連覇は叶わなかった。
「勝負どころで仕掛けられなかったのが敗因。自分で踏んでいればよかった。浅井さんが車間を切っているのかと思って、どこから詰めるのかなと思ったら、浅井さんが苦しそうだった。慌てて(仕掛けて)行ったけど…」