-
3連覇に向けて
グランプリのチャンピオンジャージをまとったG1初戦の全日本選抜初日に白星も、2日目は落車に見舞われた。肩鎖関節の脱きゅうでおよそ1カ月半の欠場を余儀なくされ、復帰場所のウィナーズカップを着。2度のG1にグランプリを制した脇本雄太の番手だった2日目は、8番手まくりに置いていかれた。
「復帰戦だからといって、離れていいわけじゃない。怪我した分、踏み上げるパワーが戻ってない。思ってるように進まない」
落車の怪我が尾を引いているのは間違いないが、出し惜しみをしない三谷らしい仕掛けは健在だった。その後は武雄記念で2勝、川崎記念を着で大一番を迎える。
「(3場所走って)微妙ですね、武雄の時は悪くなかったけど…。あとは(ダービーで)しっかりと戦えるように」
ダービー3連覇の偉業にも、気負うことなく仕上げていく。
-
松戸競輪場 第73回日本選手権競輪4/30〜5/5
日本選手権競輪
ベストメンバーがそろう
-
第73回「日本選手権競輪」が松戸競輪場で開催される。新田祐大、深谷知広が昨年のオールスター以来となるG1参戦で、前半戦のヤマ場にふさわしいベストメンバーがそろった。果たしてウィナーズカップでも圧巻の強さを見せた脇本雄太を止める選手が現れるのか。短走路を舞台に4月30日から6日間の戦いがはじまる。
- レース展望を読む
インタビュー
-
愛車に手応え
昨年はオールスターの2走目から、寬仁親王牌、競輪祭と12走連続でG1連対の戦績を残し、G1連続Vに準V1回。迷いなき先行策でグランプリ制覇を目論んだものの、5着に沈んだ。
「(競輪祭、グランプリで使用した)フレームはダメでしたね。でも、ようやく自分に合ったフレームが見つかった」と、新車で臨んだ今年の初場所、ウィナーズカップでは着。圧巻の走りでのV獲りに、晴れやかな笑みを浮かべていた。競技では、2シーズン連続でワールドカップのケイリンで金メダルを獲得。ナショナルチームで磨かれる肉体は日々、刻刻と変化している。
「あとはいかに自分の体を(自転車に)合わせるかですね。ダービーにギリギリ間に合うかと」
S級S班として迎える初G1。周囲の想像を超えて進化した脇本が、ダービーの大舞台で見られるに違いない。
-
今年こそ満足の結果を
獲得賞金では最上位で6年連続のグランプリのキップをつかんだが、平原康多にとっては不本意なシーズンだった。
「去年は結果が出せなかった。その分も今年に」
ナショナルチームが競輪でも躍進。その影響で試行錯誤を重ねたが、3月ウィナーズカップから原点の立ち返った。
「1年間、我慢したけど、自転車を戻して、乗り方も戻した。信頼を取り戻していきたい」
ウィナーズカップ、武雄記念と続くなかで、平原は確かな手応えをつかんでいった。
「武雄記念の2日目にひらめいたものがあった。(武雄が終わって)そこを土台として積み上げていって、確信したっていうか、これだって感じた。いままでのところに戻しただけじゃ通用しないと思ってたけど、プラスアルファができた」
-
思い出の地で再び輝く
2010年の松戸ダービー決勝で兄の義弘と兄弟ワンツー。G1初制覇を果たした。それから9年。4月15日に不惑を迎えたばかりの村上博幸が同じ舞台に立つ。
「松戸ダービーが初タイトルだった。あれで自分の立ち位置も変わりましたね。9年経って競輪は大きく変わったけど、まだSSにいることができている。自分を成長させてくれた場所。しっかり仕上げて、いい結果を出せればと思ってます」
今年は1月松阪、2月奈良と記念優勝2回。その後も鋭い決め脚を武器に高いレベルで安定している。
「長くもがけるタテ脚っていうのを課題にやってきたんで、その成果が出ているのかなって思っています。でも、今年はうまく調子をコントロールできていない。そこは日々、勉強ですね」
頼もしい近畿の仲間とともに思い出の地で全力を出し切る。
-
大ケガを乗り越えて
S級S班として迎えた19年は初戦の立川記念でいきなり優勝したが、2月別府の全日本選抜で落車。左鎖骨骨折で約40日間の欠場を余儀なくされた。
「まともに骨折したのが初めての経験。手探り状態のなかで練習していたので、けっこう時間はかかると思ってました」
復帰戦の3月大垣ウィナーズカップは本調子を欠いたが、2戦目の4月高知記念は決勝に進出。状態は確実に上向いている。
「高知記念の直前は満足できる練習ができてたんですけどね。レースの感触はあまりよくなかったけど、二次予選で1着が取れたのはよかったです。これからダービーまで空くので、しっかり調子を上げていきたい」
大ケガを乗り越えて、さらに強くなる。今年に入って初めてS班9名がそろう前半戦のヤマ場の大会で力を見せつける。
-
気持ちを新たに
単騎で圧巻の大ガマシ。地元地区でファンの声援に後押しされた中川誠一郎が、別府の2月全日本選抜で逃げ切りV。「(G1は2度獲って一人前と)言われたので、これで一人前になれた」と、16年のダービー以来となる2度目のG1制覇で、真っ先にグランプリチケットを手に入れた。
「いい感じで競走に行って、練習をしてっていうのができてたけど、まさか優勝できると思ってなかった。それでいい意味で気が楽になりすぎたところがある」
その後はウィナーズカップで2勝も、続く小倉G3を着。ピリッとしなかった。
「集中力じゃないけど、4月は気持ちを入れてみっちりトレーニングをしないと」
4月を練習に充てた中川が、再びG1戦闘モードに入る。
-
南関を束ねる
9年ぶりの地元ダービー。2月にはドームへのリニューアルのため、練習拠点の千葉バンクが使えなくなったが、中村浩士の気持ちが切れることはまったくない。
「いままでと違う刺激が入りますよね。松戸にも入るし、街道でもやっている。自分ではこの速いスピードのなかで、自分にゆとりがないと、ラインを勝利に導けないと思っている」
支部長という要職をこなしながら、ビッグ戦線で南関地区のまとめ役も担ってきた。
「一丸となってですよね、(南関勢が)ひとつになることが大きなポイントだと思う。そうすれば負けないはず。悔しくて苦しい思いばっかりですけど、(勝利の)一瞬の喜びのために練習をやって、レースでも頑張っている」
ラインの力で立ち向かう南関勢に、中村は不可欠な存在だ。
-
負けた悔しさを
今年は直近の川崎記念を除いて、すべての場所で優出。2月の全日本選抜ではすご味すら感じられる追い込みで、中川誠一郎を追い詰めた。準Vで賞金を加算。気が早いかもしれないが、獲得賞金で06年以来のグランプリ出場も視界が開けてくる。それだけに、例年以上にダービーの一走、一走が重みをもってくる。
「G1は1つしか終わってないから、賞金でどうのとかはまだ早い。ただ、30回近くG1の決勝に乗って1本(03年全日本選抜)しか獲れてない。日々精進して獲ろうと思ってこれだから、積み重ねが大事になってくる」
シリーズ未勝利と不本意だった川崎記念では、「毎開催、なんかしら収穫があったけど、今回はなにもない。あるとすれば負けた悔しさだけ。そこだけが収穫」。ハングリーな気持ちを全面に、ダービーではどん欲に結果を求めよう。
推奨選手
- 大森
- 慶一
Pick Up 1
「暖かくなって調子は上がっている」の言葉どおり、差し脚に切れが戻ってきた。4月京王閣の準決勝ではまくった飯野祐、成田和の後ろから突き抜け。短走路とはいえ好調な差し脚は軽視できない。
- 野田
- 源一
Pick Up 2
S級1班に返り咲いた今期は好調が続いている。記念に3回参戦して、すべて決勝に乗っている。不惑を迎えたが、まくりの破壊力はまだまだ健在だ。短走路で主導権争いが激しくなれば出番が巡ってくる。
- 中井
- 俊亮
Pick Up 3
今年はF1で優勝2回。4月高知記念では3連対を果たすなど、グレード戦線でも存在感を示している。追加で決まったダービー出場でモチベーションは高まっている。好相性を誇るバンクで結果を出す。
- 久米
- 康平
Pick Up 4
4月前橋の準決勝では売り出し中の森田優を出させず3着に逃げ粘り、続く大垣ではカマして野口裕をひやりとさせた。持ち味のダッシュを生かす展開になれば点数以上の活躍がありそうだ。