復調へ大きな記念V
「アツシ(柴崎)も同じことを考えてましたね。自分も粘ろうかと思ってた」
小松崎の上昇に合わせて動いた柴崎が、中団取りではなく北日本勢分断に出たことで流れは急転。池田勇にチャンスが巡ってきた。
「(柴崎が)粘ったのがわかったんで、あとは(競りの)決着がつく前に行こうって思った」
前団の隊列は凝縮。逃げる小松崎にとっては死角となった打鐘の2センターで池田勇が踏み出し、ロングまくりでV獲りを果たした。
「まさか獲れるとはね。あんまり考えすぎても体が動かなくなっちゃうから。その場、その場で(判断して)と思っていた」
5月の全プロ記念で落車。右鎖骨骨折のアクシデントに見舞われ、1カ月以上を棒に振った。それでも腐ることなく怪我のマイナスを大きなプラスへと変換して結果につなげた。
「あの骨折で逆に吹っ切れましたね。それに富山記念ではギア規制で一緒に苦しんだ(相川)永伍さんも(決勝で)2着だったし、負けてられないと思った。(平原康ら)怪我をしている先輩たちもいるんで、楽をさせてあげられるように」
サマーナイトフェスティバルの落車で、今シリーズを欠場となった武田豊に代わる追加配分でもぎ取った優勝。怪我に泣く先輩たちを気遣いながら、池田勇が関東の戦力ダウンを食い止める。
逃げた小松崎が2車身差の準V。柴崎の組み立てが想定外だったようで、神妙な面持ちで口を開く。
「あれは考えてなかったです、甘かったです。アッちゃん(柴崎)も引いて中団の方が楽だったんじゃないですか…。結果論だけど、もう少し早く踏んでいればよかった。自分のミスです」
タッグを組んだ柴崎の動向を見極めた岩津が、切り替え踏み上げるも3着まで。
「もうアッちゃんに任せていたし、あれで(小松崎)大地が(池田勇を)カマさせなければおもしろかった。アッちゃんが詰まっていたんで、自分で踏んでいったけど、大地もあと掛かりだから厳しかったんですね」
池田勇の踏み出しに追走いっぱいの飯嶋は、最終3角で売り切れの4着。
「マーク屋として2着は確保しないと。自転車(のセッティング)がどうのこうのじゃなくてね。悔しい」
結果的にこのレースのキーマンとなった柴崎。大きく流れを変えた北日本勢分断を、振り返る。
「迷ったんですけど。あそこで引いてもと思って、ああいう形になった。ホームで落ち着こうと思ったんですが…。外から来ていて、まったく対処できなかった」
「全部、俺のせいです。俺がナメられているからああなってしまった。大地も2着になってしまった。(競りに)勝っていかないとまたやられる…」と、小松崎の番手を明け渡した高橋は唇をかむ。