• 小倉競輪場 第57回競輪祭 GⅠ11/20〜11/23

後記 GⅠ 小倉 11/20

最強タッグを証明

武田豊樹

武田豊樹

武田豊樹

武田豊樹

 今年のG1ファイナルの舞台だけで4度目のタッグ。武田と平原の絶妙なコンビネーションが、また新たなG1Vを生み出した。逃げた武田を平原が追い込んでワンツーの昨年の競輪祭決勝だったが、今年は平原がシリーズの流れをくんで武田の前で戦った。
 レースはただひとりの20代、竹内を阻んで、村上義が果敢に先行策に出る。竹内の踏み出しに遅れた浅井と重なった平原は、瞬時の判断で稲川をすくって3番手を奪取。が、武田は稲川に割り込まれて最終ホームを通過。そこから稲川がインを突くと、からまれながらも力ずくでまくって出た平原に武田がドッキングを果たした。
 「平原君もすごいキツかったと思います。その前に平原君も(浅井に)締められてますから。そこから稲川君にすくわれてのまくりは、かなり苦しかったと思います。僕も本当に脚は残っていなかったですね」
 スピードに乗った平原が逃げる村上義をつかまえて、あとは平原、武田“2人だけの世界”。焦点は両者の優勝争いに絞られた。
 「(自分の感じから)平原君の優勝は確実っていう感じだったんで、僕も必死に食らいついていった結果、ゴール前にちょっと伸びましたね。(それで平原との着順が)変わってました」
 平原とのあうんの呼吸でもぎ取った高松宮記念杯に次いで、今年2度目のG1制覇。この一年グランプリのチャンピオンジャージを身にまとい、のしかかる重圧とも正面から向き合ってきた。その中でのタイトル奪取は、武田の強靭なメンタルと進化の証だろう。
 「(今年)思うように走れなくて、苦しい時期はあったんですけど。そこはいままでの経験を生かして心を落ち着かせて練習に励んでいました。今年(高松宮記念杯で)G1をひとつ獲ってましたけど、まったく油断せずにG1優勝を目指して頑張っていた。その気持ちがグランプリにつながると思います。昨年は岸和田でしたけど、今年は関東に来るんで、関東の代表選手として。(関東は)3車いますから、そこを気にしながらなんとかしたい」
 昨年と同じ平原、神山雄一郎と気心の知れた“仲間”と迎える年末の大一番。山田裕仁(02、03年)以来となるグランプリ連覇を見据える武田には、油断も驕りもない。GP決定も村上義は…
 内から稲川に当たられながらも、近畿勢をねじ伏せまくりで飲み込んだ平原。そのパワーとスピードで別線を凌駕した。
 「竹内があのタイミングだったら、村上(義)さんも突っ張るしかないと思った。あとは自分がそこから早めに村上(義)さんを乗り越えられるように行くしかないと。浅井に降りられたし、仕掛けようとしたところで、稲川にもってこられてキツかった。武田さんには差されたけど、2人でゴール勝負ができたんでよかった。池田君が自分のラインを選んでくれたし、やっぱりラインは重要ですね。池田君までワンツースリーで決まってよかったですよ」
 G1決勝の舞台を初めて踏んだ池田は、関東の2人には遅れながらも村上博のブロックを乗り越え表彰台の3着。関東コンビへのチョイスが、勝負の大きな分かれ目となった。
 「自分はとくに緊張しなかった。それがわかっただけでもいい経験になった。前の2人は本当にすごかったし、もっとレベルアップしていけるように。自分の地区にもああいう選手が欲しいですよ」
 単騎の渡邉は前受けからポジションを確保できずに、最終ホームでは9番手の最後方。最後の爆発力にかけたが4着まで。
 「難しかったですね…。(周回の並びは)一番嫌な展開だった。(単騎での戦いは)いい経験になったと思うんですけど。ラインができないからこそ、(優勝を)狙えるっていうところもあるんで…」
 「(稲川)翔のところを突っ込めたら、良かったけど。ぶつかってしまって」と、打鐘の4コーナーでバランスを崩した浅井が振り返る
 逃げて7着に沈んだ村上義は、武田、平原との力差を痛感。武田のVにより賞金枠で6年連続9度目のグランプリ出場を決めたが、その表情は険しい。
 「(村上)博幸と翔にチャンスをつくってやれなかったのが申し訳ない。平原君、武田さんが自分より一枚も二枚も上でした。自分としてはG1を優勝して(グランプリへ)と思っていたので、それが達成できなかったのは残念です」

Race Playback

レース展開8
2村上義が突っ張り、8竹内は主導権を奪えず
レース展開9
3浅井との併走から、7平原が内に進路を取る
レース展開10
7平原がまくり、ドッキングした1武田が追走する
レース展開11
ゴール寸前で1武田が交わし2度目の競輪王の座に

レース経過

誘導員 : 八谷誠賢

 やや見合ったスタートから単騎の渡邉が誘導員を追うと、中部両者がこれに続く。周回は渡邉―竹内―浅井―平原―武田―池田―村上―村上―稲川の並び。
 青板バックから動いた村上義は一気に竹内に並びかける。すぐさま車を下げた竹内は8番手。渡邉の位置は変わらず、2番手以下は近畿、関東、中部ラインで赤板ホームを通過する。下げた竹内は1センターから前団を叩きに行くが、この動きに合わせて村上義も誘導員を下ろして先行態勢に。打鐘から激しい主導権争いとなったが、外々を踏まされた竹内は最終ホームで力尽きる。竹内の踏み出しに口が空いた浅井との中団争いから稲川のインに切り込んだ平原はホームで3番手を奪う。しかし、稲川は1センターから平原をすくい返して再び3番手に。稲川の動きで外に浮いた平原はそのまま外を巻き返しに行く。平原のまくりは直線、しかもイエローライン付近では村上博のブロックは届かない。2コーナーから再度、平原とドッキングした武田が続いて、関東両者で3番手以下を大きく引き離す。平原、武田の優勝争いは番手の武田に軍配が。ゴール寸前で平原をとらえると、6月高松宮記念杯に次ぐ、今年2度目のG1戦を制した。2センターで村上博のけん制を受けた池田だったが、4コーナー山おろしで再加速すると浅井、渡邉の追撃を何とか振り切って3着をキープした。

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