GPへ最後のバトルが開幕
グランプリ(GP)の椅子を巡る15年最後のG1バトルの舞台は、今年も北九州メディアドーム・小倉競輪場。第57回朝日新聞社杯「競輪祭(G1)」が、11月20日に4日間シリーズの幕を開ける。ドームバンクで繰り広げられる迫力満点のスピード決戦は見逃せない。
昨年は次点で初のGP出場に涙を飲んだ新田祐大が、ひと回りもふた回りも大きくなって帰ってきた。今年は3月のダービーを。決勝では平原康多、浅井康太との微差、タイヤ差の接戦を制して4日制以上のG1初制覇を飾った。その後も勢いは衰えることなく、他を置き去りにする抜群のスピードを武器に白星を量産している。9月のオールスターではドリームを8着に大敗も、2走目以降からきっちりと立て直し。ダッシュを利かせた立ち回りで3番手を確保した決勝では、まくりで後続をちぎって今年2つ目のタイトルを手にした。賞金ランクでも2位の武田豊樹を大きく離して、トップをひた走っている。ポテンシャルを存分に生かせるドームなら、機動力を駆使してG1連覇が十分に可能。G1年間3勝で悲願のGP制覇へと弾みをつける。北日本勢は、SS班不在もタレントは豊富。全日本選抜VですでにGP返り咲きを決めている山崎芳仁は、新田との年末の大一番を見据え呼吸を合わせることに余念がない。また、スピードでは新田に見劣ることのない渡邉一成や佐藤友和、佐藤慎太郎らもGPへのラストチャンスに燃えている。
高松宮記念杯Vの武田をはじめ、関東地区のSS班は、平原、神山雄一郎(ともに獲得賞金)3人すべてがGPの出場をほぼ手中に収めている。シリーズを戦う上では大きなアドバンテージになろう。さらに個の力量もさることながら、武田、平原の息の合ったコンビプレーの威力は絶大だ。7月に練習中に右手首の骨折を負った平原だったが、直近の準V大垣記念の動きを見る限り怪我の影響は感じられない。また、武田も直近の函館で今年5度目となる記念Vを飾り順風満帆。両者に不安要素がないだけに、昨年の再現でワンツー決着も十分だろう。
中部勢は浅井、深谷知広のSS班の2人にオールスターで初めてG1決勝の舞台を経験した竹内雄作が加わることで、新たなハーモニーが生まれている。賞金ランク4位の浅井は2度のG1表彰台、記念4V。自力、番手とポジションに合った立ち回りで、年間を通して質の高いパフォーマンスを披露しGPチケットをモノにしている。一方、競輪祭優勝しかGPへの道が残されてない深谷だが、ここに来て復調急。大垣記念で1年2カ月ぶりの優勝を遂げ、虎視眈々とここに照準を合わせている。長い距離を踏むことを苦にしないパワー溢れる竹内も魅力たっぷりで、強力なラインができあがれば他地区にとっては脅威となる。
賞金ランク6位の稲垣裕之、同8位の村上義弘を擁する近畿勢は、固い絆で京都の2人を盛り立てGPへと導きたい。賞金的には初のGPが見えてきている稲垣だが、G1初制覇へ勝負のシリーズではあることは間違いない。千葉記念での落車の怪我が心配された村上は、続く函館記念を3連勝で優出と動き自体も悪くなかった。脇本雄太、稲川翔ら前後を固める役者もそろい他地区を一蹴するシーンがあっていい。
地元の九州勢では中川誠一郎、大塚健一郎の2人は、いつG1を獲ってもおかしくないだけの力を備えている。さらに寬仁親王牌でタイトルホルダーへの仲間入りを果たした園田匠も侮れない。